家庭用精米機その2。各精米方式の仕組みと長所短所(かくはん式、圧力循環式等)

精米機

家庭用精米機の各精米方式の仕組みとその長所短所と砕米についてご説明させていただきます。

始めに

  1. 精米機選びの一番のポイントになってくるのがこの精米方式の違いです。これは炊飯器で例えるとマイコン式や圧力IH式等の炊飯方式の違いと同じで、それぞれの方式によって長所と短所を持っています。

  2. どの方式をお選びになっても美味しいご飯が食べられるのは同じなんですが、価格、設置スペース、お手入れの面倒さ、精米時間等、方式の違いによっては大きな差があるのもまた事実です。

  3. きちんと精米機の性格を調べずに買ってしまうと、後になって必ず後悔する事になりますから事前に理解しておいて下さいね。

  4. もう一つ、精米機に付き物なのが「砕米」(さいまい)です。砕米とは精米時に必ず出てしまう割れたり欠けたりしたお米の事で、この砕米が含まれたご飯は不味くなると言うのが定説です。そのため、お米の通販業者はこの砕米を除去した自社製品をアピールしています。

  5. では具体的にどの程度の混入率になると不味くなるのでしょうか?

  6. 古くから流れている定説なのに、不思議な事にそれを調べた人は誰もいません。「砕米は悪」だだそれだけです(笑)

  7. こうした科学的な根拠を持たない物をオカルトと言います。本当に砕米が少しでも混ざるとご飯は不味くなるのでしょうか? どうしても砕米が出てしまう家庭用精米機より、砕米を取り除いた専門業者からお米を買わないといけないのでしょうか?

  8. 今回はそのオカルトに関してちょっと調べてみました。

  9. 因習に囚われて、非常に保守的で排他的な食品業界の一端をご覧下さい(笑)

精米機

家庭用精米機の精米方式

始めに

  1. 家庭用精米機は安価で小型の物が多いのですが、それでも大きく分けると3つ、細かく分けると4つの精米方式があります。ではそれぞれの方式の仕組みと特徴を見て行きましょう。

精米機

かくはん式、対流式の仕組みと特徴

    ツインバードMR-E750構造図
  1. 主に安価な商品に多い方式ですが、カゴの中央に羽根や棒が付いた回転ユニットがあり、これがプロペラの様に回転する事でカゴと米、米と米、羽根と米が擦れ合う摩擦によって表層を削り合って精米して行く方式です。構造的にはミキサーなんかと似ていますね。

  2. かくはん式は構造がシンプルで小型も容易で安価に作る事が出来ます。また精米の際にお米が熱を持ちにくいのでお米が変質しにくいメリットがあります。そして何と言っても一番のメリットはお手入れが楽な事ですね。

  3. 図の様にカゴからこぼれた糠はバケツに落ちて行きます。精米機は精米が終わった後で毎回この糠とバケツ、カゴ、回転ユニットを掃除しなければなりません。かくはん式は全てのパーツが簡単に取り外せて水洗いが出来ます。

  4. 精米機初心者の皆さんや面倒なお手入れが苦手な皆さんはこちらをお選びになると良いでしょう。

  5. 欠点としては、以前は精米の際に砕米(欠けたり割れた米)が多く出るのが弱点でしたが、最近の物は羽根の形状を改良したりマイコン制御する事によって以前ほど砕米は出なくなっています。

  6. また、以前の物は音が大きいのが欠点でしたが、最近はメーカーによってはかなり改善されています。騒音に関しては精米方式よりもメーカー差や機種ごとの差の方が大きいとお考え下さい。

精米機

圧力循環式の仕組みと特徴

    象印BT-AF05模式図
  1. 圧力循環式は味にうるさい米屋などがよく使っている方式です。家庭用では象印のみが販売しています。

  2. 左の図は象印公式の物なんですが、担当者は複雑なメカニズムの説明が絶望的に下手な人だったらしく、何だかナスカの地上絵にしか見えないですね(笑)

  3. 心臓部は中央で玄米が斜め上に登って行く狭い通路部分なんですが、ここは筒状の金網で出来ていて、中心にらせん状にねじ山を切った太い棒が通っています。ちくわの様な形ですね(笑)

  4. この棒が回転すると玄米がねじ山に巻かれて、ギュウギュウ詰めになりながら下から上へ登って行きます。この際に摩擦によって精米されて行きます。


  5. 象印BT-AF05構造図
  6. 左の図は構造図になります。相変わらず分かりにくい事山の如しですが、上の図よりも分かりやすいのではないでしょうか(笑)

  7. お米は超能力で坂を上るのではなく、中央で回転する太い棒のねじ山に巻き込まれる形で斜め上に押し上げられて行きます。

  8. メカニズム的には上で紹介したかくはん式を斜めにした形ですね。回転部分が羽根だと玄米が登って行きませんから、ねじ山の付いた棒を回転させる事で強制的に上まで運んでいます。

  9. 圧力循環式はその名の通り、このプロセスを何度も繰り返す事で徐々に精米して行きます。

  10. 一気に精米出来ないので時間はかかりますが、お米に強い力がかからないので砕米が出にくいのとお米が熱を持ちにくいのが大きな長所です。

  11. 反面、欠点は色々とあります。まずは精米時間がかかる事ですね。例えば5合の玄米を白米に精米する場合、かくはん式は3分弱で精米出来ますが圧力循環式は7分以上かかります。精米機は掃除機やドライヤー並の騒音が出ますから、精米に時間がかかる場合は夜間の使用に気を使います(笑)

  12. また、構造が複雑なためにどうしても大型で高価になってしまいます。かくはん式の場合は使う時だけ箱から出して使えますが、圧力循環式はキッチンに常備する事になります。予めお買いになる前に設置スペースを用意しなければなりません。実売価格もかくはん式の倍以上しますから気軽に試すと言う訳には行きませんね。

  13. そして、最大のネックになるのがお手入れの面倒さです。かくはん式は糠バケツ、カゴ、回転部の全てが取り外し可能で水洗いも出来ますが、圧力循環式は糠受け以外は外せません。回転棒もカゴの部分も本体に固定されてますから、付属の専用ブラシで糠を落とさなければなりません。

  14. お手入れの方法は象印公式ページに動画があります。動画を見ると大した事がなさそうに見えますが、実際は中央の金属部分を中心に一面に飛び散った糠がこびりついていますから、それをブラシで掻き落とす事になります。

  15. 象印は「お手入れ簡単」なんて言ってますが、お手入れは簡単でもきれいにするのは大変なのでお間違いない様に(笑)

  16. 圧力循環式は味にうるさい米屋が使っているのを見ても分かる様に、精米方式としては最も優れた方式です。ですから、最高の米を最高の方法で精米したいと言う海原雄山みたいな人には打って付けなんですが、値段はともかく、置き場所とお手入れに関しては環境と人を選びます。

  17. それがメカニズム的に最高の物であったとしても、皆さんのご家庭に最適であるとは限りません。置き場所となにより毎日お使いになる方の性格をよく考えてからお選びになって下さい。

精米機

圧力式の仕組みと特徴

    象印EP,CB型構造図
  1. 圧力式は一般の米屋やコイン精米機なんかに多い方式です。精米部分のメカニズムは圧力循環式と同じですが、一度カゴを通っただけで精米は終わってしまいます。何度も循環しないのでただの「圧力式」なんですね。

  2. 圧力式のメリットは精米時間の短さです。玄米は円筒状のカゴの中を端から端まで一度移動するだけで完全に精米が終わります。大量に精米しなければならない業務用機に多いのは当然ですね。

  3. また、圧力式は圧力循環式と同様に砕米が出にくいのも大きなメリットです。砕米の比率が増えるとご飯の味に影響して来ますから、通常は砕米を分離してお米を販売しています。砕米率が高い精米機は歩留まりが悪くなり、それだけ損失になる事から業務用機ではかくはん式や対流式はあまり使いません。

  4. ただ、圧力式には大きな欠点があります。それは短時間で精米するためにどうしてもお米が熱を持つ事です。圧力式は効率を優先した方式ですから結果的にお米自体にしわ寄せが行きます。お米が熱を持つ事で劣化が起こり風味が落ちて行きます。

  5. 白米は30℃以上になると劣化が始まります。と言うのは私の勘違いで、正確には20℃以上で酸化し始めます。これは非公開コメントで五つ星マイスターのお米屋さんからご指摘がありました。非常に面白い内容のお話なので非公開なのが残念ですが、おそらくご本には宣伝とでも取られるのがお嫌なんでしょう。ご本人のご意向を汲んで、某所のお米屋さんとだけ書いておきますね(笑)

  6. さて、話を戻しましょう。真冬でもない限りどの方式でも20℃程度になりますが、特に圧力式は精米後の温度が高くなるのが欠点です。精米時の温度上昇は出来るだけ低く抑える方が美味しくなりますから、皆さんがいつも食べているスーパーのお米は既に精米の時点で風味が落ちたお米の可能性が高いと言う事ですね。増してそれを1か月近くかけて食べているとなると酸化による劣化が加味されます。

  7. 家で精米したご飯は美味しい」と言うのはこの2種類の劣化を防げる事が大きな要因の一つです。業務用機と家庭用機では精米品位に差はありますが、この精米時の熱に関しては町の米屋の精米機よりも1万円の家庭用精米機の方が優秀なんです。

  8. まあ、単に非力で低速だから結果的に温度が上がりにくいだけなんですけど(笑)

  9. それはけしからん話だ、なんて思う方もいらっしゃるかも知れませんが、米屋には米屋なりの事情があります。業務用の低発熱の圧力循環式だと30kgの玄米を精米するのに1時間近くかかります。10時間営業で開店から閉店まで精米機を回し続けても玄米10袋しか精米出来ません。これでは商売にならないのですよ(笑)

  10. そんな訳ですから、米屋やコイン精米機に文句を言っても始まらないので素直に家庭用精米機を買って下さい(笑)

精米機

では、どの方式を選ぶべきなのか

    選択
  1. 精米方式に大きく分けると3つの方式があるのはお分かりいただけたと思いますが、では皆さんはどれをお選びになるのがベストなんでしょうか?

  2. それはやはり各ご家庭によって違って来ると思います。まあ、1万円の予算ならかくはん式しか選べないので選択肢は他に無いのですが、家庭用精米機は高価な物でも3万円程度です。ここは予算を抜きにして考えてみましょう。

  3. お米にとって最も理想的な精米法はやはり圧力循環式ですから、ご飯の味が全てに勝ると言うのであればこちらをお選びになると良いと思います。但し、設置場所の確保面倒なお手入れと言うオマケが付いて来ます。特にお手入れに関しては、いい加減な掃除の仕方をしていると夏場に精米機に虫が湧く可能性があります。

  4. 米から出る糠は多くの虫の好物ですから、米に沸く虫だけとは限りません。特に温度の高い夏場は糠自体も発酵して来ますから、甘い匂いに誘われて様々な虫が精米機に集まって来ます。挽きたての虫の死骸入りご飯を食べたくなかったら、特に夏場は丁寧なお手入れが必須になります(笑)

  5. これをご覧の男性諸氏、貴方のパートナーはそうしたお手入れを苦になさらないタイプでしょうか?

  6. もし、そうでないならお止めになった方が良いと思いますよ(笑)

  7. で、熟慮するまでもなく寒気がした皆さんはかくはん式、対流式をお選びになる方が良いでしょう(笑)

  8. こちらは圧倒的にお手入れが楽です。基本的にお手入れが必要なパーツは羽根、カゴ、バケツの3つだけです。全て簡単に取り外して水洗い出来ますから、どんな物臭な奥様方でもあまり苦になりません。

  9. まあ、一部の例外は除いてですけど(笑)

  10. 欠点としては圧力循環式に比べるとお米に傷が付きやすい砕米が出やすいと言うのがありますが、次項を読んで貰えるとお分かりになると思いますがそれほど気にする事はありません。ちょっとした気分の問題で、両者のご飯の味の違いは判別出来ません。

  11. ただ、圧力循環式もかくはん式、対流式も大量に精米するには手間と時間がかかりすぎます。かくはん式、対流式は精米時間こそ短いのですが、5合クラスでは一度に5合精米出来ません。必ず精米ムラが出ますので4合程度が限界だと思って下さい。

  12. また、4合程度精米したら一度糠を捨てねばなりません。糠バケツの容量は1回精米する分しか想定されていません。それはモーターの過熱対策として一度使うと最低20分程度休まさなけらばならないからですね。連続使用その物が禁止されているからです。

  13. つまり、5合クラスのかくはん式、対流式で1升の玄米を精米しようとすると待ち時間を含めると30分以上かかる計算になります。圧力循環式は糠を捨てなくても済みますがモーターを冷却しなければならないのは同様ですから、結局同程度の時間がかかる計算になります。

  14. では1升クラスの圧力循環式やかくはん式、対流式を使えば良いだろうと思われるかもしれませんが、残念ながら1升クラスは全て圧力式になります。

  15. ですから毎回1升程度のお米を炊くご家庭は問答無用で圧力式をお選びになる以外にありません。他方式の物を2台買うのはお手入れの手間が2倍になると言う事ですから、素直に諦めて圧力式をお選び下さい(笑)

精米機

「砕米は不味い」のウソとホント

お米マイスターの正体

    お米マイスター
  1. 精米機やお米の事を調べていると「お米マイスター」なる人達のサイトによく出くわします。お米マイスターなんて言うと偉い人かと思いますが、実はこの資格は米屋とその店員と家族等の小売りに携わる人にしか受験資格がなく、しかも3時間ほどの講習を受けたら即日で1時間の試験をして終わりです。

  2. 受験料が1万円もしますから、よほどアレな人以外は受験さえすれば合格出来る類の資格、の筈なんですが件のお米マイスターさんのお話だと2割ほど落ちる人がいるそうです(笑)

  3. まあ、2割も落ちると言う事はそれだけ厳しい内容の試験であるとも言えなくもないのですが、どちらかと言うとプロの米屋なら知っていて当たり前の基本的な内容みたいですのでマイスターの資格が取れないと言う事は相当アレだと言う事ですね(笑)

  4. 元々、このお米マイスターは「お米ブレンダー」と言う名前だったそうです。これは受け売りですが、昔はお米と言うのはブレンドしていた物が一般的だったそうです。これは今の様なブランド米が出る以前の話なんですが、当時は生産される品種もバラバラで今の様に欲しい銘柄を十分に仕入れる事が出来なかったそうです。

  5. そのため、米屋が客に安定した品質のお米を売るには深いブレンドの知識が要求されていました。そうした経緯があっての「ブレンダー」なんですが、今では「ブレンドする事=偽装」と言うイメージが定着してしまいましたから「お米ブレンダー」ではイメージが悪いと言う事で「お米マイスター」になったそうです(笑)

  6. ついでに書いておきますが、ブレンド米=悪い米ではありません。これはコーヒーなんかと同じで、腕の良いマスターのいる喫茶店では下手な銘柄コーヒーよりブレンドコーヒーの方が美味しい事も少なくありません。同様に、コストにシビアなる必要のない高級寿司店でもシャリは独自のブレンドを施した店も少なくありません。

  7. 要はブレンドする人間がどういう意図でブレンドするかが大事だと言う事です。それによって安い割に美味しいお米にも安いだけの偽装米にもなります(笑)

  8. さて話を戻しましょう。ただ、語源となったドイツのマイスター制度は非常に厳格な物で、専門学校で職業訓練を終えた人達がマイスター(親方)に弟子入りして、数年の実務経験を経て「熟練工」の試験を受け、さらに何年も熟練工として腕を磨いた後に親方に認められて初めてマイスター試験が受けられます。

  9. 旧態依然とした徒弟制ですから熟練工のまま10年以上過ごす人も珍しくはありません。あちらは完全に実力の世界です。ですから「マイスター」と言うのはその道を極めた人、つまり免許皆伝に近い意味を持ちます。

  10. それが、同じマイスターでありながら米屋の家族であれば無条件に受験資格を得る事が出来ると言う時点で、お手盛りの称号と言われても仕方ないでしょう。

  11. まあ、全てのお米マイスターさんがそうではありませんが、このお米マイスターなる資格はプロの米屋として基本的な知識を持っているというだけの物であって、別に「お米の達人」とかではありません。ですから炊飯器メーカーなんかが「お米マイスターが認めた味」なんてやっているのは、単に「町の米屋が認めた味」と言う事です(笑)

  12. まあ、ギャラ貰って担ぎ出されている時点でどんな不味い飯だって認めちゃうでしょうけど(笑)

  13. さて、そのお米マイスターの人達のサイトを読んでいると「家庭用精米機はお米にキズが付いて粘りがなくなる」とか「砕米が多くなるので美味しくない」なんてもっともらしい事を書いてあります。一見すると合理的な話に思えますから、お米マイスターの資格がどう言う物だか知らない人達は信じてしまうでしょうね。

  14. ただ、これを言い換えると「ウチはコメにキズも付きにくく割れにくい業務用の圧力式精米機を使っているから、美味いコメが食いたければウチで買え」と言う事になります。

  15. 早い話が、単純に利害関係がある人間が利益誘導してるだけなんですね。しかも圧力式の発熱については一切触れていません(笑)

  16. ついでに、私も彼らに習って利益誘導してみる事にしましょう(笑) 次の資料は2006年に農林水産省が行った「精米及び加工米飯の特別調査」の調査結果です。これは平たく言うと市販の米の虚偽表示に対する抜き打ち調査ですね。その調査結果がこちらです。

  17. ご覧の通り、発覚した不正表示の割合は卸売業者と量販店が5%前後だったのに対して米穀専門店、つまり町の米屋は倍の10%を超えています。農林水産省の指導を食らった米屋のほとんどは「お米マイスター」を名乗っていたでしょうね(笑)

  18. 真面目にやってる米屋さんも多いのですが、個人経営なんて監査がありませんから誤魔化す気になればいくらでも誤魔化せます。立派な肩書を持っていようと、お米について豊富な知識を持つ事とその知識を正しく使う事とは何に関係もありません。1万円で買える肩書きなんぞその程度の物なんですよ(笑)

  19. ただ、砕米が不味いと言うのは米屋でなくても分かります。で、この件についてちょっと調べてみるといくつか面白い資料を発見しました。ちょっと見てみましょう。

精米機

家庭用精米機を用いた水稲品種の適搗精度の判定(独立行政法人農研機構)

    サタケマジックミル
  1. 一つ目は独立行政法人の農研機構が2001年に発表したちょっと古い資料なんですが、「家庭用精米機を用いた水稲品種の適搗精度の判定」と言う物です。平たく言うと、業務用と家庭用精米機で精米した時のシルキーパール、ひとめぼれ、スノーパールの耐性試験ですね。調べるのはコメの品種ごとの特性で精米機は単なる測定用の道具ですが(笑)

  2. ちなみに、S社家庭用精米機とはサタケのマジックミルの旧型です。

  3. 面白いのは精米時間の除けば、旧式の業務用精米機よりもサタケのマジックミルの方が同等もしくは優秀だと言う事が分かります。特に砕米率に関しては倍近い差がありますね。まあ、サタケが優秀なのか業務用機がアレなのかは分かりませんが(笑)

  4. もう一つはお米の品種による違いです。同じ精米機の口コミでも「コメが割れた」「いや全然割れない」なんて真逆の物があります。普通だったら工作員を疑う所ですが、精米機は物凄くマイナーな家電製品ですから工作員を動員するメーカーはありません。つまり、この口コミはどちらもウソを付いている訳ではないと言う事です。

  5. その理由の一端がこの資料に表れています。ひとめぼれに比べるとスノーパールは非常に割れやすい品種のお米だと言うのがお分かりいただけると思います。スノーパールもシルキーパールも粘りが強くもっちりした「低アミロース米」に分類されるお米ですから同じミルキークイーンなんかも割れやすいお米だと推察出来ます。

  6. 逆に、ひとめぼれが割れにくいお米ならササニシキなども同じだろうと推察出来ますね。

  7. また、砕米率は銘柄以外にもその年のお米の出来にも大きく影響されます。一般に猛暑の年はお米にひびが入った胴割米が発生しやすくなると言われています。この胴割米の混入率が高いと精米時に砕米が多く出てしまいます。

  8. ですから、砕米率の高さと言うのは何も精米機だけの問題ではなく、品種や気象条件によっても大きく変化すると言う事ですね。

  9. ただ、残念ながら今の家庭用精米機ではデリケートな調整は出来ません。せいぜい精米時間を調整するだけですね。まあ、メーカーがその気になれば出来なくはないのでしょうが、かくはん式では回転制御と精米時間しか調整出来ませんし、圧力式や圧力循環式だと専門的な知識も必要となって来ます。

  10. エルニーニョの年など気候不順で不作の年は素直に精米した物をお買いになる方が良いかもしれません。

精米機

砕粒が混入した精米の食味試験結果(内閣府消費者委員会)

    砕米
  1. 二つ目は内閣府消費者委員会が発表した「砕粒が混入した精米の食味試験結果」と言う物です。概要についてはこちらの週刊ライス・ビジネスさんの記事が分かりやすいでしょう。

  2. 正直言って「ホンマかいな?」と言う内容ですね(笑) 試験の依頼先が日本精米工業会と日本穀物検定協会なんて利害関係ありまくりの機関で、しかも結果的に両協会と加盟企業や事業者に有利になる内容だけに鵜呑みにするのは難しいのですが、完全にねつ造だとするとバレた時の影響が大きすぎますから半分ぐらいは本当だと思います(笑)

  3. 砕米や胴割米が増えると食感が悪くなるのは誰でも分かりますが、ただそれが具体的にどれくらいの量を閾値に許容限界を超える不味さになるかと言うテストはこれまでやって来なかったみたいですね、信じられない話ですが。客である消費者側を全く見ずに自分たちの都合の事しか考えて来なかったから、こんな基本的な事柄すら調べてなかったのでしょう。

  4. 日本の農業を取り巻く環境について文句を言いだすとキリが無いのでこのくらいにしますが、生産者が消費者ではなく流通の顔色ばかり見ている様ではいつまでたってもどちらも幸せ内なる事はないでしょう。幸せなのは農協だけですね(笑)

  5. さて、話を戻しましょう。仮にこの報告が話半分だとしても、不味いご飯と言うのは砕米の含有量よりも得体の知れないブレンド米の方が評価が低かったと言う事になります。つまり、きちんとした銘柄米を選んでいれば精米の際に多少砕米が出たとしても即ご飯が不味く感じる可能性は低いと言う事ですね。

  6. 仮に家庭用精米機は業務用精米機より砕米が出る確率が高かったとしても、お買いになった皆さんがご飯を不味く感じる可能性はほとんどないと思って下さい。また、これは精米方式の違いについても同じですね。かくはん式、対流式は精米方式としては圧力循環式より不利ですが、だからと言ってかくはん式、対流式で精米したお米が不味くなる訳ではありません。ご家庭の事情に合う物をお選びになって下さい。

精米機
家庭用精米機その3。ツインバード、山本電機、エムケー精工の精米機へ進む
家庭用精米機トップに戻る
関連記事

コメント

管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
かくはん式は、どうして精米できるのでしょうか
楽しく読ませてもらいました。
かくはん式の家庭用精米機(ツインバード)を使っているものです。
ざるの底で棒が回るだけでなぜ精米できるのか疑問に思い、調べる中でこのサイトにたどりつきました。

>カゴと米、米と米、羽根と米が擦れ合う摩擦によって表層を削り合って精米して行く

とのことですが、感覚的にはちょっと不思議です。
試しに玄米を爪でひっかいてみても、ぬか層は削れないようでした。
容器内の擦れ合いは圧力もかかっていないのに、どうしてあんなに硬いぬかを削れるのでしょうね。
たかだか数分で、ほとんど全ての米粒を全方位から削ることに成功しているのは驚異的です。
もし機械屋さんとして知見があれば教えてもらえたら嬉しいです。





えー

私は一応、機械屋でなくて電気屋ですので、電気屋的な知見でよろしければお話しましょう(笑)


爪では削れない玄米の表面を精米機ではなぜ削れるのか、と言うお話ですね。

理由は3つです。それは硬度の違いと運動エネルギーと回数の違いですね。


物には硬さの基準となる数値がありまして、これをモース硬度と言います。ダイヤモンドは非常に硬い物質ですが、これはモース硬度だと10になります。精米機の羽根やカゴに使われているステンレスや鉄はモース硬度だと5.5~5くらいです。方や爪の硬度は2.5とかなり柔らかくなります。

ちなみに石膏が2ぐらいで大理石が3くらいです。爪は石膏に傷をつける事は出来ますが、大理石に傷をつける事は出来ません。硬度の数値が低い物は原則として高い物に傷を付けられないのです。

で、本当ならここで玄米のモース硬度を出してサクッと終わりにする積りだったのですが、残念ながら玄米のモース硬度を測ったモノ好きな人がいないみたいで数値は不明です。困ったモンですね(笑)

そんな訳でサクッとは片付きませんが、恐らく玄米の硬度は爪より若干高いのだと思います。
多分ね(笑)

玄米の正確な数値は分かりませんがステンレスや鉄に比べるとはるかに柔らかい素材ですので、両者を擦り合わせると玄米の表面は簡単に削れてしまいます。試しに玄米にドライバーの先を軽く押し付けるとお分かりになると思いますが、大して力を入れなくとも糠が削れていると思います。


そしてこのドライバーの刃先を玄米に当てる作業を何百何千回も繰り返しているのが精米機です。高速回転する金属製の羽根はかなりの衝撃で玄米と衝突してその表層の一角を穿ち、表層の一部が欠けた玄米は互いにぶつかり合いながら水の様な流れを起こして外周の硬い金属製のカゴに何度も擦りつけられます。

一度に穿たれる量は少なくとも、擦られ、削られ、引っかかれ、こうした事を何度も何度も繰り返される事で徐々に表層の糠が剥がれて行くのが精米機の仕組みになると言う事ですね。

ですから、全周の糠が剥がれるのは純粋に回数の問題ですね。一度では無理でも何百何千回も削られれば徐々に全周の糠が落ちて行きます。また、確率的な偏りがありますから均質ではありません。若干糠が残っている米もありますし、精米度が高すぎて米の表層が削れている物もあるでしょう。当然ですが、欠けたり割れたりする米も混じります。

全体的にアバウトな機械ですから緻密な作業には向きませんが、それでも人力でやるよりは千倍はマシと言うのが精米機の取り柄です(笑)


さて、こんな感じでお分かりいただけたでしょうか?

No title
失礼しました!電気屋さん!!

なるほど、硬さが大事だったんですね!
試しに包丁の背で玄米を削った所、すぐ白くなりました!
とてもよくわかりました。
すごく勉強になりました。
精米機って単純な作りなのに実はすごいものなんですね。
ていねいに回答いただき、どうもありがとうございました。
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
BG精米製法

最初にお断りしておきますが、私は単なる元電気屋のおっさんで博士号も教員免許も議員バッジも持っていません。
ですから「先生」は勘弁して下さい。先生気取りのおっさん連中と一緒にされたくありませんから、只のりぺ屋で結構ですよ(笑)


で、本題に戻りますが、お話の様にBG精米製法は米の搗精度を上げるのを主目的とした加工法なんですが、無洗米自体が主に飲食店等の業務用米として洗米の工程を省略する為に生み出された物ですから、この点に関して東洋ライスの主張には特に矛盾は感じませんね。

ただ、BG精米製法の米が他の米より美味いとか、米のとぎ汁が環境を大幅に悪化させるとか、BG精米製法の米が一般の精白米よりも賞味期限が長いとかは客観的な根拠に乏しい上に、賞味期間については以前に国民生活センターが行った無洗米の品質テストで否定されています。

http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20020606_1.pdf

栄養学的な知見に関しては私よりXさんの方がお詳しいでしょう。米に虫は付き物ですが、世の中そんな虫の良い話はありませんよね(笑)


東洋ライスの広報部は何としてでもBG精米製法を賢者の石に仕立て上げたいみたいですが

こんな事ばかりしてると「米屋と質屋は三代続かぬ」で終わる事になるでしょう(笑)

コメントの投稿

非公開コメント


プロフィール

りぺ屋

Author:りぺ屋
どんなに高機能でも壊れればただの粗大ゴミ。
家電と亭主は丈夫で長持ちするのが一番ですよ(笑)

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

人気ブログランキング
にほんブログ村 キッチン家電・生活家電ランキング
リンク
RSSリンクの表示
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
月別アーカイブ