パナソニック、バルミューダ、カドー、ブルーエア製空気清浄機の特徴やナノイー等の機能についてお話させて頂きます。
始めに
ここまでシャープ、ダイキンとご紹介して来ましたが、今回は国内3強のパナソニック、そして高級空気清浄機のバルミューダ、ガトーとブルーエア製のモデルについて見て行きたいと思います。
本来は1つのページに纏めるにはかけ離れた性格の4社なんですが、深く考えないで下さい。単に字数の問題です(笑)
だた、オカルトイオンの怪しい効能を前面に押し出す家電大手と、純粋に粉塵の処理能力でトップを目指す専門メーカーとのアプローチや思想の違いは浮かび上がってくるでしょう。
どちらを善しとするかは皆さん次第、私は純粋にご説明をするだけです(笑)
パナソニック
パナソニック製空気清浄機の特徴
パナソニックの空気清浄機の一番の特徴と言えばナノイーですね。こちらもイオン系の装置なんですが他社とは異なる構造になっています。ですからプラズマクラスターやアクティブプラズマイオンとは生成される物質が異なります。その辺りを見てみましょう。
それ例外にもエコナビなんて省エネ回路も搭載されていますが、呼び方は違えど他社にも同様の物はありますのでパナソニック独自の物とは言いがたいです。可変式のルーバーや吸気のギミックは典型的なハッタリなので実用的な効果はありません。凄そうに見えるだけです(笑)
全体的に見て癖の強いシャープやダイキンの物と比べると中庸で強い個性はありません。が、逆に設置する環境を選ばないと言う点では、3社の中では最も汎用性が高いのがパナソニックの空気清浄機です。
特徴が無い事が一番の特徴ですね。この辺りはパナソニックらしい所ですね(笑)

ナノイー
ナノイーとは
「ナノイー」とは空気中の水分から生み出される微粒子イオン。一般的なイオンと比べて6倍長もちで、広範囲に届きます。また、水分量はマイナスイオンの1000倍以上。カビ菌やニオイ、アレル物質など目に見えない小さな不快の原因を抑制する力があります。お肌と同じ弱酸性で、人に優しいイオンです。(パナソニックHPより)
いつも思うのですが、こう言う文面を書く人は何を考えてるのでしょうか。一見すると説明文の様に見えますが、実は何も説明していません。単に水分量が多いから効くのでしょうか? だったら加湿器使った方が効果が高いでしょう。弱酸性とか水分量が多いとか副次的な性質の話をしても、本体が何なのか全く説明していません。
つまり本体がどんな分子構造なのか、どんなメカニズムで除菌するのか全く不明だが、滅菌効果があり、一般的なイオンより長命で多くの水分量を持ち、弱酸性の謎物質がナノイーと言う事になります(笑)
これなどは典型なんですが、なるべく都合の悪い部分には触れずに景気の良い話だけで説明しようとするとこうなります。これじゃ「絶対に儲かる話」と同じですね。つまりやり口としては詐欺師のそれと変わりません。世界的な家電メーカーなのにいい加減にして欲しいです。
さて、話を戻しましょう。パナソニックは論理的な説明をしたくないみたいなので私なりにまとめてみました。
ナノイーとはおよそ0.01~2µm程度の微小な水滴で、除菌に働く主成分はこの水滴に含まれるOHラジカルです。水滴ですから当然水分量は多いです。パナソニックは「ナノイーはイオンで水で包まれてる」なんて言い方をしてますから、OHラジカル自体を「ナノイー」と呼んでいるとも取れますね。だとすると、猛毒の強酸化性の活性酸素がナノイーの正体って事になります(笑)
口先三寸で人を騙そうとすると、どこかでボロが出ますよ(笑)

ナノイーの仕組み
こちらがナノイーユニットの構造図と生成メカニズムの模式図です。こちらは分かりやすくて良いですね。何せ下手糞な図を自作しなくても済みますから(笑)
ご覧の通り、コロナ放電を使うのはプラズマクラスター等と同じです。大きな違いは電極の1つがベルチェ素子を使って冷やされている事です。この事で電極の先端に結露が起きて水滴が溜まります。この水滴もろとも高圧放電をかける事でナノイーは生成される訳ですね。
ベルチェ素子と言うのは電気を通すと冷たくなる特殊な素材です。皆さんの身近だと、缶ビールを数本冷やせる小さな冷蔵庫や小型のワインセラーなんかがこのベルチェ素子を使っています。パワーが無いので大きなスペースを冷やすのには向きませんが、コンプレッサーがいりませんから超小型の冷蔵庫を作れます。
さて、OHラジカルを生成する方法は幾つかあるのですが、この水を使った方法は結構効率が良いので一部の工業用施設では実際に使われています。但し、その方式は光速ストリーマのように機械内部で処理するもので、ナノイーのように室内に放出して処理するものではありません。ここが大きな違いでありネックでもありますね。
また、パナソニックはOHラジカルを毎秒4800億個生成していると自慢していますが、実はOHラジカルは沢山作れば良いと言うものではありません。生成量が多すぎるとOHラジカル同士がくっついて水の分子に戻ってしまいます。ですから、多すぎず少なすぎずの調整が非常に難しいのが特徴です。さらに生成されたOHラジカルが全てナノイーになるわけではありません。この辺りからどんどん胡散臭くなってきます(笑)
ナノイー生成のメカニズムは理解出来ますが、この微小な水滴に閉じ込めれれたOHラジカルがパナソニックの言うような寿命と効果があるかどうかは怪しいです。OHラジカルが1時間の寿命を持つなんて話は聴いた事がありません。もし本当にそうだったら、今頃は産業用に引っ張りダコでしょう(笑)
また、コロナ放電に付き物のオゾンについて一切言及していない所は怪しさを通り越して故意としか思えません。なぜならこのやり方で最も安定して除菌効果があるのがオゾン水だからです。
結局、ナノイーと言うのも装置から生成される物とその効能とには大きな隔たりがあると言わざるを得ません。ロジカルな装置がミステリアスな物質を生成しファンタジーな効果を生み出す、このイオン系の装置に共通したオカルトな流れに属します。ナノイー自体もパナソニックの説明では曖昧すぎて良く分かりません。この辺りはプラズマクラスターとそっくりです(笑)
ただ、1つだけ確実な事があります。このナノイーデバイスは絶えず結露した電極に高圧放電を加えると言う特徴から故障のリスクが高く、また実際に故障が頻発しています。多くの場合、プラズマクラスター7000と同じ様に電極を掃除すれば改善出来るみたいですが、プラズマクラスター7000と同様にこのメンテナンスをするためには本体を分解する以外に方法はありません。ナノイーに関しては全モデル同様です。
ファンタジーな効果を期待したら、リアルな後悔しか残らなかった、なんて話がゴロゴロしてます(笑) お買いになる方は相応の覚悟をして下さいね。


ナノイーの効果
さて、プラズマクラスター、アクティブプラズマイオンと検証して来ましたが、いい加減馬鹿らしくなって来たのでざっくりと纏めてみましょう。
このナノイーに関しても素晴らしい効果が、1㎥容器内等の恐ろしく都合の良い環境下で実証されています(笑)
そして取扱説明書にだけ「ナノイー発生時には微量のオゾンが発生します」と書いてあります(笑)
さらに効果については「ナノイーデバイイスの検証結果であり、本製品(空気清浄機)の検証結果とは異なります」とハッキリ書いてあります(笑)
要約すると、ご都合主義のテストで結果は出ているけど効果の主体はオゾンで、しかもカスタムチューニングしたデバイス使ったからあんたらが買った空気清浄機にはこんな能力は無いよ、って事ですね。ある意味、正直なのでシャープなんかよりもずっと好感は持てますが(笑)
そんな訳ですから、基本的にプラズマクラスターやアクティブプラズマイオンと同類のオカルトデバイスと考えて良いと思います。効果が無い訳ではありませんが、微量のオゾンを撒いてるだけですね。
ただ、ナノイーの場合は微小な水滴も撒いていますから、他のイオンデバイスとは異なります。ここの所は少しお話しておきましょう。
口コミ等を読んでいると、ナノイーの効果は殆ど感じないが肌の保湿感は実感する、なんて書き込みを見ます。プラズマクラスターも同様な効果を謳っていますが、プラズマクラスターイオンの水分量を考えるとちょっとありえない話です。少なすぎて話にならないって事ですね。
ですがナノイーの場合は実際に水滴を撒いていますから、これは有りうる話です。但し、加湿している訳ではありません。その辺りを簡単にご説明しましょう。
マンション等の気密の高い住宅だと冬場にサッシに結露しますよね。この結露した水分を容器に溜めて、霧吹きに移して顔に吹き付けているのがナノイーのメカニズムです。これを電気使ってやってるだけですね。ですから、室内の水分の総量は変わりません。分配の仕方を変えているだけです。
但し、撒いてる水はただの水ではありません。そこに含まれるのは強酸化性の活性酸素OHラジカルですから、肌に取り付いたら雑菌も殺しますが皮脂も変質させてしまいます。OHラジカルは反応後は水に戻ってしまいますから保湿効果はありますが、肌は無傷ではありません。
短期間で肌に影響は出ないでしょうが、目先のうるおいに釣られて長期間使った場合にどんな影響が出るか分かりません。パナソニックは安全だと言っていますが、彼らが行った安全性対するテストは1ヶ月程度の短期間で結果が出る物だけです。長期間使用する事に対する安全性の保証はどこにも無い訳です。
最近、化粧品の老舗メーカーのカネボウがやらかしましたが、炊飯器や掃除機のメーカーが作ったろくに長期テストもやっていない美肌用品なんて、頭から信用する方がどうかしていますよ。
お使いになる方は、その事を頭の隅にでも入れて置いて下さいね。

パナソニック製空気清浄機のまとめ
さて、まとめるほどの内容ではありませんが一応恒例なのでやっておきます(笑)
書き忘れていましたが最近のパナソニックモデルのフィルタは高性能フィルタを使っていましたが、この秋の新型では上位モデルはHEPAフィルタに戻りました。実質的な効果に大差はありませんが営業上のメリットは大きいですからね。ですからHEPA信者の皆さんも、今後は選択肢に入れて下さいね(笑)
パナソニック製空気清浄機のまとめ
1.ナノイーの実体は水滴なのでプラズマクラスター等に比べると数的に圧倒的に少ない。効果が低いとか遅いとか言われるのはこのため。また効果の実体は例によってオゾン。
2.ただ、霧を飛ばすのと同じなので保湿効果は期待出来る。但し、その成分の安全性は不明(笑)
3.設置やメンテナンス等は3社の中では最も楽なので有利。但し、全体的に性能の割には割高なのが難。
バルミューダ
バルミューダ製空気清浄機の特徴
バルミューダ社は扇風機と空気清浄機が有名ですが、元は2003年に東京武蔵野市で設立されたデザイン事務所です。そんな関係で工業デザインは比較的優秀なんですが、家電メーカーとしては設計と製造に詰めの甘い部分があり、どちらかと言うとデザイン家電メーカーと呼んだ方が良いでしょう。ですから、実力より見た目優先ですね。
このJetCleanの一番の特徴はA4サイズのスペースがあれば設置できるスリムさなんですが、吸入口が両サイドにあるので各30cm程度のスペースが必要になります。本体が25cmありますから、実質的な占有スペースは幅85cm以上とシャープを除く大手家電メーカーの物より広い空間を必要とします。
構造は単純な煙突型で上部に吸気用と排気用の形式が異なるファンが2台、下部に円筒状に成型したHEPAフィルタと脱臭フィルタがセットされます。
排気は真上に吹き出しますから、室内の気流の合理的な循環を考えると部屋の中央部に設置しなければならず、日本の一般家庭で使うには非現実的なセッティングが必要になります。確かにオシャレかもしれませんが、空気清浄機として考えると実用面で多くの代償を支払っています。

JetCleanの長所と短所
一番の長所はフィルタとファンを縦に並べることで空気の流路に無理が無く、また大型のファンを搭載出来る事から豊かな風量が期待出来る事ですね。
但し、単に縦に並べるだけでは上手く行きません。25cm角程度の面積ではフィルタの流量が限られますから大風力を出せません。そこでバルミューダはHEPAフィルタと脱臭フィルタを円筒状に成型する事で表面積を増やして対応しています。このフィルタのお陰で縦型に出来た訳です。
と、ここまでは良いのですが、ここから問題が山積するのがこのメーカーの悪い所です。
このJetClean、実はプレフィルタがありません。ですからHEPAフィルタには髪の毛や糸くず等の大きな埃が直接吸着します。そのため、3週間に一度フィルタを取り外して掃除機で直接吸うように取説には書かれています。この時点で空調メーカーとしては失格ですね。
綺麗な空気を吸いたいから空気清浄機を買ったのに、3週間に一度大量の埃を吸いながら高価なフィルタをダメにする作業を強いられる訳ですね。これじゃサイクロン掃除機と同じです(笑)
また、形式の全く異なるファンが2台縦に並んで、同じ方向に送風しているのも理解の範囲を越えています。なぜ2台必要なんでしょうか? 当然、ファンノイズも電力消費も2倍になります。
実は2台のファンは吸気用より排気用の方が大幅に出力が高く、排気用ファンはフィルタを通った綺麗な空気と一緒に、サイドインテークから室内の汚れた空気も吸ってそのまま撒き散らしています。これがバルミューダが自慢する大風量の秘密です。つまり風量の水増しをしている訳ですね。これじゃぁ空気清浄機の意味がありません(笑)
他にも4万円以上する高価なモデルなのに電源がACアダプターだとか、もうツッコミ所が多すぎて反応しきれません(笑) 例によって家電メーカーみたいな怪しげなテストをして自慢してますが、このお粗末な機械を見たら検証する気にもなりませんね。空調の素人が設計した空気清浄機、なんて言われたら信じてしまいそうな完成度です。

バルミューダ製空気清浄機のまとめ
バルミューダの商品は空気清浄機に限らず、高いデザイン性とそれを支えるユニークな設計が特徴です。同時に、未成熟な設計と生産管理が問題点になります。
別にデザイン優先で家電を設計する事は悪い訳ではありません。ですが、デザインと機能を両立するには高い技術が必要になります。デザイン優先の空気清浄機と言えば東芝がユニークなデザインの物を販売していますが、売り上げは苦戦し、追い討ちをかけるようにリコールを出してしまいました。東芝クラスのメーカーでも簡単な事ではない訳です
残念ながらバルミューダにはその絶対的な技術が不足しています。確かにJetCleanはデザインは美しいですが、家庭用空気清浄機としてはシステムが破綻しています。
JetCleanはオシャレな設計事務所なんかに置くと良く似合うでしょう。クライアントとの打ち合わせの際には話のタネになるでしょうし、オフィスのイメージアップにも繋がります。
そして3週間に1度、事務所の新人が掃除当番として埃だらけになりながらフィルタを掃除するのです。これがJetCleanの正しい使い方でしょう(笑)
カドー
カドー製空気清浄機の特徴
カドーは業務用空気清浄機やオカルト水素水ヴァルナゲンを販売しているエクレアの家庭用空気清浄機ブランドです。エクレアは2011年に半蔵門で設立された「エコ」「ヘルス」「クリーン」をキーワードとした商品を製造販売するベンチャー企業です。社長と副社長は元ソニーの家電開発者と元東芝のデザイナーですから畑違いではありませんが、正直ちょっと胡散臭いですね(笑)
カドーの一番の特徴はAHAM(米国家電製品協会)のCADR値(クリーンエア供給率)で最高値を叩き出した事ですね。タバコ、花粉、埃の3種の除去能力試験で全て最高値を出してます。性能的には後述するブルーエアと同等で共に世界一の性能です。
心臓部のフィルタは非常に凝った物で、プレフィルタ→光触媒活性炭フィルタ→HEPAフィルタ→脱臭フィルタの4層構造になっています。光触媒フィルタは業務用機の中性能フィルタの代用品で、LEDランプにより表層部分が再生するので長寿命でメンテナンスフリーになります。また、この光触媒フィルタを挟む事でHEPAフィルタと脱臭フィルタの延命効果も期待出来ます。
と、こう書くと素晴らしい様に思うでしょう? 実際素晴らしいのですが、その素晴らしさの代償としてオーナーは対価を支払わなければなりません。
これだけしても大風量で高性能のフィルタの寿命は1年程度で、AP-C700の場合は交換フィルタは光触媒、HEPA、脱臭フィルタの3枚セットで2万円程度かかります(笑) お高く感じるでしょうが、3で割ると1枚7000円弱ですから特にぼったくっている訳ではありません。高性能でお手入れが楽な対価としては相応でしょう。ま、お安くはありませんが(笑)
筐体は箱型なんですが吸入口は両サイドにあり、カドーは全方向で30cm以上の空間を開けるように言っています。フラッグシップモデルのAP-C700は幅42奥行30cmありますから、最低でも幅1m奥行60cmのスペースが必要になります。またAP-C700は両サイドへ排気する気流の関係から、部屋の中央部に置く方が効率が上がります。他のモデルは500と300正面、100は下部からの排気になります。

カドー製空気清浄機の長所と短所
カドー製空気清浄機の長所
カドーの長所は繰り返しになりますが、実用レベルにおいて国内最高性能の空気清浄機だと言う事ですね。CADR値の最高値を出すというのはそう言う事です。但し、最高値を出したのはAP-C700であって他のモデルは違います。しかし、適応畳数から見ると全モデル高性能だと言えます。
このCADR値の測定は非常に厳密な物でインチキが効きません。計測法はサイズの異なるタバコ、花粉、埃の3種の粉塵の除去率をテストしますが、事前に自然減衰(床に落ちたり壁に取り付いたりする粉塵量)を計測しておいて実際の除去量から引かれます。つまり純粋に空気清浄機が集塵した量だけを測定します。テスト時間はタバコと埃が20分、花粉が10分、そして同じテストを3回繰り返して平均値を出します。
しかもテストは1度だけではありません。一定期間を置いて何度も継続テストされます。その際、テスト機は流通在庫から無作為に選ばれた物を使います。つまりカスタムチューニングした物で好成績を出しても次のテストでバレてしまう訳ですね(笑)
また、適応畳数もAHAMが実際の測定結果から決めますから、例えば大出力機を狭いスペース用としてエントリーして好結果を操作するなんてインチキも出来ません。CADRの推奨フロア面積(適応畳数)は1時間に1回換気をした(人が出入りした)場合に最低80%のタバコ煙を除去することが出来る面積を指します。どこかの国の怪しげな規格と違い、全て現実的な状態から逆算された計測法です(笑)
参考までに、こちらが最新(2013年7月発表)のCADR値です。

カドー製空気清浄機の短所
そんな訳でして、HEPAフィルタの捕集率ガーなんて間抜けな議論ではなく、現実的な話として国内モデルの中で最高の集塵能力を持つのがカドーの長所なんですが、やはり良い事ばかりではありません。幾つか短所があります。
一番の短所は排気が吹き出す高さの問題です。カドーの空気清浄機は45cm高の本体上部から斜め方向に排気が出るのですが、これが設置する場所や或いはライフスタイルによって不都合が出て来ます。畳の部屋に置くと排気が直接顔に当ったり、ローテーブルの上の灰皿の灰を撒き散らしたりと、なまじ風量が多いだけにこの気流の処理に難儀をする事になります。特に500と300は正面に向かって吹き出すだけにやっかいです。
また、風量が多いために騒音の問題もあります。低運転の場合はほぼ無音なんですが風量が上がるにつれて音量も上がります。ですから強運転だと轟音です(笑) まあ、これはあのサイズで大風量だと仕方ないかも知れませんが。
もう1つはエクレア社自体の問題です。エクレアは起業したばかりのベンチャーですから営業もサポート体制も弱く、将来的にも会社の存続自体にも不安があります。
カドーをお探しの方は実機をご覧になりたいでしょうが、現在大手で全商品取引があるのはヨドバシのみです。この辺りの事情は良く分かりませんが、仕入れ値がバカ高くて定価販売を強制してるとか、そもそもエクレアの生産能力が低くて大量の取引に応じられないとか、色々な理由が考えられます。
ウチのブログにも「Amazon カドー」なんてキーワードで来られる方がいらっしゃいますが、残念ながら舶来品フェチの多いアマゾンでさえ取り扱っていません。取り扱わないのか取り扱えないのかは分かりませんが残念な話ですね。アマゾンに卸すだけでかなりの売り上げになると思うのですが。
また、折角CADR値の最高値を出しながらアメリカでも販売していません。この辺りは謎を通り越して意味が分かりません(笑) 何のためにテストを受けたのでしょうか?
もう1つ。公式通販で交換フィルタが在庫切れになるのは空気清浄機メーカーとしては失格なんですが、この稿を書いている時点では500と300用の物が在庫切れしています。まともな生産計画を立てているのでしょうか?
また、発売してからまだ1年経っていないために耐久性についても不明です。口コミでは初期不良の話は見かけませんでしたから、生産ラインはそれなりの品質の所を使っているのでしょうが、単価を考えると数年で買い換えるタイプの商品ではないだけに先行きは不透明です。
そんな訳ですから、カドーを買うのは一種のバクチになります。勝負師の方向けの商品です(笑)

カドー製空気清浄機のまとめ
カドーの空気清浄機は空気の浄化能力は高いのですが、排気の設計等まだまだ未成熟な部分もあります。またベンチャー企業に付き物の不安定さも購入を躊躇させる部分です。
そんな訳ですから、「どうしてもコレ1台で」なんてお考えの方はお止めになった方が良いでしょう。既に何台か高性能機をお持ちの方が、「ちょっと試しに」買われるタイプの商品です。ヨドバシはカドーを取り扱っていますが、実機を展示しているのは関東圏の店舗のみです。他のエリアにお住まいの方は実機を見ぬまま購入する以外ありません。
口コミを見る限り、今のところオーナーが不満に思うのは排気の処理ぐらいで、それ以外に大きな問題はありません。ですから、それを承知でお買いになる限りは購入直後に不満に思う部分は少ないでしょう。但し、2年後3年後にどうなるかは分かりません。カドーのネックはここになります。
ここをどう判断されるかが、オーナーになるかどうかの分かれ道だと思います。
ブルーエア
ブルーエア製空気清浄機の特徴
Blueair社は1996年にスウェーデンのストックホルムで設立されました。社長のベント・リトリは元エレクトロラックスの人で最高性能の空気清浄機を作るために起業したそうです。現在は世界約50ヶ国で販売されています。
ブルーエアの特徴はカドーと並んでCADR値の最高値のレコードホルダーと言う事もありますが、それを長年維持してきた実績と信用が上げられますね。老舗の安心感、これは新興メーカーでは簡単に手に入れられない物です。
また、その大型で非常に重い金属筐体は、この空気清浄機が365日24時間稼動を前提に作られている事を示しています。北欧の長く陰鬱な冬を如何に快適に過ごせるか、元々この空気清浄機の開発主眼はそこにあります。この辺りはオモチャのようなプラスチック製の国内家電メーカーのそれとは一線を画します。
その高性能を支えるのが巨大なファンと独自の大型フィルタです。この特殊フィルタは粗中細の3層構造になっていて、それぞれがサイズの異なる粉塵を処理するために目詰まりがしにくくなっています。また、吸入口にイオン生成器を装備して粉塵を帯電させていますので簡易式の電気集塵方式とも言えます。捕集性能は0.1μmの粒子が99.97%集塵出来るそうですから、通常のHEPAフィルタより高性能ですね。
但し、標準モデルのフィルタセットには脱臭フィルタは付いていません。最初から脱臭モデルをお買いになるか、フィルタを脱臭タイプと換装する事で脱臭モデルになります。一応、脱臭フィルタが無くても高性能な集塵フィルタが臭いも吸着しますが、消臭に関しては脱臭タイプの方が高性能でしょうね。
この辺りは面白いですね。欧米は土足生活ですから室内の粉塵の量も日本の倍以上あるでしょう。埃っぽい室内を浄化するのを主眼に開発された空気清浄機と、もともと埃が少なく花粉や臭いの除去を主眼に開発された国内モデルの差ですね。オカルトイオンも効果と呼べるのは消臭効果だけですから、そう言う意味では役に立つ機能かも知れませんね(笑)
排気に関しては全モデル異なります。最上位の650Eは下面吸気で上面と側面から排気します。450Eは側面吸気側面排気、270Eは側面吸気上面排気になります。お求めになる前に、各モデルの特性とご自宅の環境をすり合わせておいて下さいね。

ブルーエア製空気清浄機の長所と短所
ブルーエア製空気清浄機の長所
ブルーエアの長所はカドーと同じく実用レベルで最高性能だと言う事ですね。これは圧倒的な風量と高性能なフィルタを搭載していると言う事です。しかもそのチャンピオンの座に長く座り続けている偉大なチャンピオンだと言う事ですね。長年に渡る信用と実績から、今でも空気清浄機のリファレンスモデルと言えばブルーエア650Eを指します。
また、その大型で頑丈な筐体は長年の使用にも耐える耐久性の高い物です。地味ですがこれは大きな意味があるのですよ。空気清浄機のようにファンが絶えず回転している機械はずっと微振動に晒されます。この微振動はボクシングのジャブみたいな物で、長期間受け続けることで部品にどんどんダメージが蓄積して行きます。
真っ先に影響が出るのはモーターやファンなどの取り付け部分です。プラスチック製の筐体に直接取り付けている場合や、薄っぺらい金属フレームに取り付けている場合はネジ山が磨耗してガタツキが出て、やがて異音を発する様になります。こうなるとモーターやファンが異常振動を起こして破損や故障のリスクがぐっと上がります。
また、電気系にも影響が出ます。制御回路のコンデンサー等の部品は振動に弱く、長期間振動を受ける物と受けない物では寿命が全く異なります。立体交差等の橋梁部に取り付けた電気部品の寿命は通常の3分の1以下です。丈夫なのが取り柄の業務用機器でもこのザマですから、脆弱な家電部品ではなおさら短命になるでしょう。
実際にテストした訳ではありませんから確証はありませんが、家電メーカー製の空気清浄機を24時間駆動で使い続ければ3~4年で寿命が尽きると思います。まあ、あの作りでこれだけ持てば御の字とも言えますが、花粉シーズンの真っ最中に壊れられたら腹立ちも収まりません。空気清浄機はライフラインに属する家電ですから故障と言うのは起きてはならない物なのです。ですから高い耐久性は大きな魅力になります。
カドーと共に大風量も大きな魅力です。皆さん風量の事は軽視されがちですが、空気清浄機選びで最も重要なのが風量です。
例えば花粉が室内に侵入した場合、無風状態なら30秒程度で床に落ちてしまいます。そうして、一旦床に落ちてしまったら空気清浄機ではどうする事も出来ません。掃除機に置き換えると良く分かると思いますが、サイクロンであれ紙パックであれ、いくらフィルタ性能の優劣を唱えても肝心の吸引力が無ければ意味がありませんよね? 何せ吸わない事には綺麗に出来ないのですから(笑) これは丸々空気清浄機にも当てはまります。
先のフィルタの回で、お使いになる部屋の倍の対応畳数の物をお選び下さいと申し上げましたが、別に倍に止まる必要はありません。6畳間に60畳用の物をお使いになっても能力的には無駄にはなりません。この場合、6畳用のモデルなら取りこぼす花粉も確実に浄化出来るでしょう。まあ、巨大な本体の置き場所があればの話ですが(笑)
対応畳数と言うのは、その空気清浄機の能力の最大値であって最適値ではありません。特に対応畳数が広くなるのに比例して空気清浄機には大きな負荷がかかりますから、頑丈で設計に無理がないブルーエアの優位性が際立ってきます。その代わり本体も他社よりデカくなりますけどね(笑)

ブルーエア製空気清浄機の短所
良い事尽くめで終わって欲しい所ですが、そうは行かないのが家電製品です(笑) 当然、短所もあります。
ブルーエアと聞いて、皆さんが一番ネックにするのが半年と言う交換フィルタの寿命でしょうから、まずはそのお話からしましょう。
ブルーエアのフィルタ交換の目安は公式には6ヶ月です。但し、これは24時間稼動した場合の話で12時間稼動だと1年になります。つまり約4320時間の使用で交換と言うだけで、それが半年先か2年先かは純粋に稼働時間で決まって来るだけです。実際、ブルーエア本体にはタイマーが内蔵されていて稼働時間をチェックしています。そして、所定の時間が経過するとフィルタ交換サインが出る仕組みになっています。
またこの半年と言うフィルタ交換の目安は全世界共通です。これは私の個人的な考えなんですが、土足生活で室内が粉塵だらけの外国と、非常に埃の少ない日本とではフィルタ交換のタイミングが同じになる筈はありません。実際にダイソンでは掃除機のフィルタ掃除のタイミングが日本と海外では異なった設定になっています。日本は半年に1度ですが、海外では月に1度のフィルタ掃除を定めています。まあ、掃除機とは単純比較は出来ませんが、ブルーエアのフィルタ交換のタイミングは、公式より少々長く使っても問題ないのではないかと思います。
もちろん、タバコ吸ったりや焼肉を焼いたりすればその限りではありませんが(笑)
そんな訳ですから、この「半年でフィルタ交換」と言うのは皆さんが考えるほど大きなネックになる訳ではありません。家電メーカーの10年持つフィルタも24時間稼動なら1年持てば良い方でしょう。その程度の差です。
これからはハッキリとした短所の話です。まず第一にブルーエアには一定の確率で初期不良が混ざっています。高額商品なのに頭に来る話なんですが、これは現在ブルーエアは中国で生産されている事に起因します。故障箇所は主に電気系統なんですが、これは典型的な中華製部品の品質のバラつきと中国人労働者の怠慢さの結果ですね。あの国で物を作ると逃れられない不治の病です。
幸いな事に、初期不良の対応は迅速ですぐに本体交換になりますから致命的ではありません。とは言え、実際にヤラれたらかなり頭に来るでしょうけど(笑)
もう1つはセンサーの問題ですね。ブルーエアのセンサー類は国内家電メーカーの物に比べて反応が鈍く、この点に不満を持つオーナーさんが多いです。これは部品の品質の問題ではなく、恐らく設定の問題だと思います。
埃っぽい海外でセンサーの感度を上げると常時強運転するハメになりますから、適度に感度を下げて使っているのでしょう。それはそれで悪くはありませんが、悪いのはその設定のまま日本に持ち込んでいる事でしょうね。ここが外資の悪い所です。彼らは極端にローカライズを嫌がります。
不便だから売れない、売れないから生産コストが上がるのを嫌がる、この2つを延々とループする訳ですね(笑) 傍から見れば間抜けな話なんですが、それでも彼らはこのループを止めません。ブルーエアも同じです。
もう1つの問題はお馴染みの代理店のボッタくりです(笑) 北米モデルは日本の3分の2程度の価格で3年保障が付いています。差額は日本法人の社長が銀座で豪遊するのに使われる訳ですね(笑)
この日本だけバカ高い価格設定の話は他の家電の項で何度も書いているのでここでは繰り返しませんが、ホントにいい加減にして欲しい物ですね。正直言って買う気を無くします。今は昔と違い、こうした情報はすぐに共有されますから、説得力の無い言い訳をされても誰も耳を貸す人間は居ないでしょう。
舶来崇拝なんて団塊の世代以上の話です。今の若い人達には通用しません。いい加減に目を覚まさないとジリ貧になるだけなんですが、それほど銀座で飲む酒は美味いのでしょうか?(笑)

ブルーエア製空気清浄機のまとめ
ブルーエアの空気清浄機は能力に関しては申し分ありませんが、センサー等のローカライズに関しては不満も残ります。また、能力を考えると仕方ない話とは言え、その大きなサイズや騒音等は日本の住宅事情を考えると必ずしもマッチするとは限りません。かなり人や環境を選ぶタイプの機械になります。
価格や能力を考えるとカドーとの一騎打ちになると思いますが、どうしても決めかねるようならブルーエアを選ばれると良いでしょう。良くも悪くも確実な実績があると言うのは、空気清浄機のような機械には重要な要素です。
水や空気を出す装置が勝手に止まられたら困ります。安全で確実なのが一番ですよ。
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