掃除機その7。各種特性値(吸込仕事率、ダストピックアップ率、騒音値、重量、排気のきれいさ等)の説明

掃除機

掃除機の吸込仕事率、ダストピックアップ率、騒音値、重量、排気のきれいさ等の各種特性値の意味や見方をご説明をさせていただきます。

海外モデルは本当に優秀なのか?その2。

  1. 前回は日本と欧米の住環境の違いについてお話しました。欧米は土足生活ですから床は固く傷だらけで、ゴミは土や砂のように摩擦抵抗は低いが比重の重い物が中心で、欧米の掃除機はそうしたゴミをかき集める事に特化していると言う訳ですね。

  2. そうした欧米の住環境で優秀な掃除機が日本の住環境、つまり柔らかく傷の無いフローリングや、さらに柔らかい畳の上の、摩擦抵抗が高く比重の軽い繊維質のゴミを吸い取るのに適しているとは思えないと言う話でした。

  3. この辺りは、ダイソンやミーレのオーナーさん達が動画をアップされていますからご覧になった方も多いでしょう。実際に壁際などは取りこぼしが多いです。

  4. では何故これらの掃除機は海外では優秀とされているのでしょうか?

  5. それは掃除機で掃除をして「綺麗になった」と言う基準が、欧米と日本とでは根本的に異なるからです。

  6. 土足生活の欧米では床を綺麗にすると言うのは足跡を消すと言う事になります。特に雨の日など大変でしょうね。翌日には家の中に泥まみれの靴跡が点々と並ぶ事になります。後の掃除を考えるとゾッとしますね(笑)

  7. 彼らにとって掃除をすると言うのはカーペットやフローリングにこびり付いた土埃を掃除機の固いブラシでかき出して、その痕跡を無くしてしまえば「綺麗になった」となる訳です。欧米で「綺麗になった」床に、真っ白のスーツを着て寝転がれば確実に汚れるでしょうが彼らはそんな事は気にしません。だって床は歩くためのスペースであって寝転ぶ所ではないからです。

  8. ですから、家族の動線上の汚れがきちんと取れるのなら、壁際のゴミを少々取りこぼそうが大した問題にはなりません。視覚的に見て汚れていなれば「綺麗になった」事になり、それは「優秀な掃除機」となります。

  9. で、この「優秀な掃除機」を真っ白のスーツを着て寝転がっても全く汚れず、素足で歩いても異物感を全く感じないくらい綺麗な状態になって初めて「綺麗になった」と呼ぶ日本に持ち込んで「海外で優秀だから」賞賛しろなんて言われても迷惑なだけです。

  10. 環境も違えば目的まで違う機械を、しかもアメリカの倍の値段を払って、ありがたく使わせて頂かなければならないんでしょうか?

  11. そんな事は壁際のゴミを綺麗に取れるようになってからぬかせ、なんて啖呵の1つも切りたくなると思いませんか? まあ、昭和生まれのグチですけど(笑)

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吸込仕事率

  1. 吸込仕事率とは掃除機の真空ポンプとしての能力を表す目安の様な物で、一般的に言う吸引力とほぼ同義です。測定法はJISで定められています。次の図をご覧下さい。

    吸込仕事率測定法
  2. こちらは東芝のHPからお借りした「JIS規格で定められた吸込仕事率の測定法」の図です。

  3. ご覧の通り、掃除機本体に延長管を付けた状態でバルブを開閉し、風量×真空度の最大値を計測します。計算式は「吸込仕事率=風量(㎥/min)×真空度(Pa)×0.01666」ですが、まあ、数式は皆さん興味がないでしょうね(笑)

  4. 実際にゴミを取る能力はヘッドの形状や能力に大きく影響を受けますので、吸引力の高さがそのままゴミを取る能力にはなりません。ですが、掃除機の馬力に当たる部分なので掃除機の基本的な能力を知るには良い数値だと思います。当然ですが高い方が優秀です

  5. メーカーの話だと吸込仕事率は300~400Wあれば通常の掃除には必要十分な能力だそうです。ただ、カーペットの奥に入り込んだ埃などを取るには数値が高い方が有利になります。これはパワーブラシで表層を掻き出しても奥までは届かないからですね。そうした物は吸引力に物を言わせて吸い取るしかありません。同様に床にこぼれた小麦粉等も同様です。ブラシだけでは取りこぼします。

  6. 全体的に紙パック掃除機の数字が大きいのは、紙パックにゴミが溜まって行くに連れ数値が低下して行きますから、予めマージンを取って強力に作られているからですね。もちろん、紙パック式はゴミが溜まらない限りはエネルギーロスが少ない方式だからと言うのもあります。

  7. サイクロン式はきちんと手入れをするなら数値の低下は低いのでマージンは取っていません。と言うか、サイクロンを回すために大きなエネルギーロスがあるので、取りたくても取れないと言うのが実情です。

  8. 特に海外モデルは吸込仕事率の低さをカバーするために、ヘッドが床に吸い付く様にデザインされています。ダイソンオーナーが凄い吸引力だと錯覚するのはこの為ですね。ヘッドが吸い付く構造のためにヘッド直下のゴミは良く吸いますが、壁際などのゴミは取りこぼします。この辺りは様子は動画サイト等にアップされてますからご覧になった方も多いでしょう。

  9. 極端に低い数値でなければ特に問題はありませんが、数値が高い方が能力に余力があると言う事です。吸込仕事率が掃除機の能力の全てではありませんが、掃除機の基本的な能力を知るには良い目安となります。

  10. 三菱雷神ヘッド
  11. こちらは三菱雷神のヘッド。紙パック式は吸込仕事率に余力があるために、サイクロン式のようにヘッドを吸い付かせる必要がありません。

  12. そのため、ヘッド正面、側面、上面などに吸入口を開ける事で、ヘッドを動かす度に周辺のゴミや舞い上がった埃も同時に吸い込む事が出来ます。

  13. 吸込仕事率が高いとこんな事も出来るのです。

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ダストピックアップ率

始めに

    嘘
  1. 「吸込仕事率はゴミを取る能力とは無関係で、欧米でよく使われているIEC(国際電気標準会議)のダストピックアップ率こそが掃除機の能力を計る目安になる」

  2. ネット上でこんな文章を見かけた事がありませんか? これ真っ赤な嘘ですよ。

  3. これは低吸引力のダイソンが太鼓持ちライターに金払って書かせた吸込仕事率に対するネガキャン記事なんですが、同じ様に低吸引力のエレクトロラックスが尻馬に乗って、さらに困った事に無責任な家電ブログの類がそのままコピペして広がった嘘なんです。

  4. 何せ、欧米には「ダストピックアップ率」なんて単語自体が存在しないのですから(笑)

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ダストピックアップ率とは

    ダストピックアップ率用ゴミ
  1. 英語で検索してみて分かったのですが、この「ダストピックアップ率」に該当する語句はありません。念の為"Dust Pick Up~"と色々単語を入れ替えて試しましたが、検索結果の大半は日本語ページのみでした(笑)

  2. 作ったのは誰かは知りませんが、和製英語ですね。この言葉が通じるのは欧米どころか、世界中で日本だけです(笑)で、IEC(国際電気標準会議)の方からこれに該当する事項を調べてみました。

  3. 分かったのは「IEC 60312」、これが規格の概略です。掃除機の性能試験に関する細かい規定が記されています。ちなみにJISでは「JIS C 9802」こちらがJIS規格の概略になります。JIS式に言うと「家庭用電気掃除機の性能測定方法」になります。

  4. 内容は主にカーペットとフローリング上で、実際に規定通りのゴミや砂を規定通りの方法で撒いて、規定通りに掃除機で吸わせて結果を計ると言う物です。国際規格ですから厳密なものですね。

  5. つまり、「ダストピックアップ率」と言う単語自体は存在しないが「IEC 60312」と言う国際規格はきちんと存在します。

  6. ではなぜ「欧米でよく使われている」筈の規格に適当な用語が存在しないのでしょう? この辺りからボロが出始めます(笑)

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全然使われていない「ダストピックアップ率」

    全然使われてない
  1. 私の調べ方が悪いのかも知れませんから、念の為に欧米のアマゾンを見て回りました。「欧米でよく使われている」のだったら各メーカーはこぞって表示しているでしょう。アマゾンUSA、UK、ドイツ、フランス、イタリアを回り、言いだしっぺのダイソンの掃除機を見て回りました。

  2. アマゾンUSAでは吸込仕事率の表示はありましたが、ダストピックアップ率はありませんでした。アマゾンUK、ドイツ、イタリアでは何れの表示もなく「HEPAフィルタで排気が綺麗」とか周辺的な話だけでした。フランスだけは性能表示に規定があるみたいで、集塵力と空気の流量表示がされていましたが、肝心のダストピックアップ率に関する項目はありませんでした。

  3. つまり「ダストピックアップ率」なる数値は、欧米では消費者には全く使われていない謎の数字だと言う事ですね。ダイソン自体がそうですから他社は言うまでもないでしょう(笑)

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「使われている」のではなく「使って欲しかった」ダイソン

    お願い
  1. 念の為もう一度、英語で検索をかけてみました。今度は「IEC 60312」の中からそれっぽい用語を選んで組み合わせてみました。"Hard Floor with Crevice Pickup Test IEC60312"とかですね。

  2. 今度は英文PDFが大量にヒットしました。ああ、これは私の検索方法が悪かったのか、と思ったのですが、よく見るとヒットしたのはダイソン自らが上げたPDFばかりと言うオチでした(笑)

  3. 結局、この「ダストピックアップ率」なる数値は、爆音低吸引力で高価な掃除機を売るダイソンが、唯一他社に自慢出来る数値だったと言う訳です。そのために何とか布教して広めようとしたが失敗に終わった造語、だったと言うのが真実みたいですね。

  4. ※非公開コメントを頂いた大ねこ元気さんのお話しだと、このダストピックアップ率に該当するのは和名で「じんあい除去能力」と呼ばれて英語では"dust removal ability" になるそうです。検索するとIEC関係の英語のPDF資料が大量にヒットしました。ただ、広く一般化された数値でないのは変わりはありません。

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ダストピックアップ率が高いダイソンを日本でテストしてみると…

    赤ずきんと狼
  1. そのダストピックアップ率とやらが高いダイソンを日本の環境でテストしたデータがあります。2006年4月発表とちょっと古いですが、国民生活センターの「サイクロン方式の掃除機の商品テスト結果」です。概要はこちらになります。

  2. ご覧の通り、散々な結果ですね(笑) 立派なのはバカみたいにうるさい騒音値の高さくらいで、ご自慢のダストピックアップ率が聞いて呆れますね。特に絶対的な吸引力不足から軽い小麦粉を取りこぼしているのが良い例でしょう。小麦粉の様な微小なゴミはブラシで掻き毟っても取れませんから。

  3. IEC60312のテスト用のゴミは珪砂のように重い物が多く、こうした物は硬く強力な回転ブラシをぶん回す事で数値を上げれます。ですが小麦粉のように軽く小さなゴミの場合は硬いブラシでかき回しても巻き上げる事が出来ず、絶対的な吸引力(吸込仕事率)の強さで吸い取る以外にありません。

  4. 大量の砂は掃除出来るが、床にこぼれた小麦粉は掃除出来ない掃除機。これが「ダストピックアップ率こそが掃除機の能力を計る指標になる」と言い張るメーカーの掃除機です。呆れた話です。

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結論

  1. IEC60312は規格としては現実的で理に適ってはいるのですが、それはあくまで欧米の土足環境下においてのみの話です。日本の一般家庭では室内に大量の砂が土がゴミになる可能性は低くて現実的ではありません。ですからJISは規格としては設定しましたが、これを国内で推奨する事はしませんでした。実際、全く使われていません。

  2. また、こうした日本とかけ離れた環境下で優秀な掃除機をそのまま信奉するのは馬鹿げた話です。IEC60312の数値を良くするには、硬いブラシで強力に床をかき出さないといけません。そんな掃除機を日本で使ったらフローリングには傷が付き、カーペットはじきに痩せてしまうでしょう。

  3. メーカーも商売ですから宣伝をするのは当たり前ですが、だからと言って日本の住宅事情に全く合っていない数値を振りかざされても迷惑です。あまつさえ自分達に都合の悪い数値を否定し、あるいはひた隠しにしておいて意味の無い数値を押し付けるのはモラル以前の問題です。

  4. ダイソンなんぞありもしない「ダストピックアップ率」を喧伝しておきながら、未だに騒音値を公開していません。本当にダイソンの掃除機が優秀なら、全ての数値を公開して堂々と勝負すれば良いのです。

  5. 己の実力を持って功を誇らず、ねつ造や他者を貶める事で功をでっち上げる。それが国であれメーカーであれ、他人から軽蔑される事はあっても尊敬される事はないでしょう。

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騒音値

    騒音
  1. 騒音値はJIS規格に基づいた本体のみの最大音量の値になりますが、メーカーによっては最小値も出しています。注意して頂きたいのは、本体のみの最大音量の値ですから回転ブラシ等が立てる音は含まれていません。特にパワーブラシの中にはかなりうるさい物もありますのでご注意下さい。

  2. ※これも大ねこ元気さんのお話ですがJISの騒音測定にはいくつかの項目があり、その中には回転ブラシを使用状態での測定もあるそうです。その際には回転ブラシの騒音もある程度含まれるとの事ですので、純粋に本体のみの騒音とは限らないそうです。ですから一つの目安として判断して下さいね。

  3. 大ねこ元気さん、色々とありがとうございました。

  4. また、騒音には音量と音質があります。一般的に、同じ音量でも高音域の騒音は低域に比べると不快感が高いのですが、個人差も大きいので音質その物に関するガイドラインはありません。騒音値とはあくまで音の強さの値ですから数値だけで判断するのは危険ですね。

  5. また、通常の動作音以外にちょっとした異音を出す掃除機もあります。これはフィルタの自動クリーニング機構を搭載している物に多いのですが、音量こそ大した事はないのですが結構気になる音です。ですから音を気にされる方は、なるだけお店で確認される事をお勧めします。

  6. 騒音値を見る目安はおよそ60dBくらいを基準にされると良いでしょう。最大値50dB台の掃除機は比較的静かな掃除機で、70dB前後の物は爆音掃除機になります(笑)

  7. 特にサイクロン掃除機は音量も大きい上に音質も高音域寄りですので、人によったら我慢の限界を越える物も少ないありません。サイクロン掃除機をお考えの方は必ず店頭で動作音を確認して下さい。考えが変わるかも知れません(笑)

  8. 下の表は一般的な騒音値の目安です。

  9. dB音の大きさの目安分類
    80地下鉄の車内、ピアノの音。聴力障害の限界極めてうるさい
    70騒々しい街角、セミの鳴き声。うるさい
    60普通の会話、チャイム。うるさい
    50エアコンの室外機、静かな事務所。普通
    40図書館、静かな住宅地。普通
  10. dB値は6dB増えると音圧は約2倍になります。但し、音圧が2倍になっても音が2倍に聞こえる訳ではありません。脳ミソの補正回路が働いて頭を保護してくれます(笑)

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重量値

    重量
  1. 重量値と言うと、メーカーはよく本体重量の軽さをアピールしていますがこれはナンセンスな話です。当たり前ですが、本体重量がいくら軽くてもホースやヘッドが重ければ意味がありません。

  2. 第一、床ブラシとパワーブラシでは重さが全然違います。ですから当ブログでは可能な限り総重量で表記しています。

  3. 総重量の目安はキャニスター型だと、5kg台が平均値で4kg台だと軽量級、4kgを切ると超軽量級、6kg台で重量級と考えて良いと思います。

  4. 実際は同じ重量でも、モデルによって軽く感じたり重く感じたりしますから一概には言えませんが、おおよその目安にはなると思います。数値から目ぼしい機種を絞るのに使って下さい。

  5. 実際にお店で持って頂くとお分かりになると思いますが、持ち手の形状やヘッドからホースまでの重量バランスによっては軽量モデルの方が重く感じる事もあります。しかも身長や腕力の差や掃除機の使い方によっても体感重量は異なって来ます。

  6. また、軽い掃除機は良い事ばかりでは無いのも覚えておいて下さい。例えば掃除機を引き回す際に、軽すぎて本体が転倒しやすくなるケースがあります。他にもヘッドが軽いと楽そうに思いますが、軽すぎるヘッドは接地感がなく、ちょっと持ち手に力が入っただけで浮き上がってしまう事があります。

  7. 一番大事な事は、軽い掃除機をお求めになる方は掃除の際に疲労感やストレスを感じない事を求めているのであって、必ずしも絶対的な軽さを求めているのではないと言う事です。掃除機が軽すぎる事で疲れたりストレスが溜まったりしたのでは本末転倒になってしまいます(笑)

  8. 他人の評価より皆さん自身がどう感じるかが重要です。最終的にはお店で手に取ってご判断下さい。

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排気のきれいさ

始めに

    綺麗な空気
  1. 残念ながら、現状では排気のきれいさについて目安となる数値は表示されていません。ですからその掃除機の排気が本当に綺麗かどうかは、カタログを見たり実機を外から見ただけでは判別出来ません。

  2. 前回お話しした様に、排気のきれいな掃除機を作るには気密を高めて主要パーツに高性能な物を使わなければなりません。特に重要なのがフィルタ類の性能ですね。排気のきれいな掃除機にはHEPAやULPAと呼ばれる、空気清浄機に使う様な高性能フィルタが使われています。

  3. では、そうした高性能フィルタを使えば排気がきれいな掃除機と言えるのでしょうか?

  4. 残念ながら、答えはノーです。

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HEPAフィルタの嘘

    水洗い可
  1. 一時期、各社HEPAやULPA等の高性能フィルタを装備する事で排気の綺麗さをアピールしていましたが、現在はこうした高性能フィルタを使った掃除機は減少傾向にあります。

  2. メーカーは排気の綺麗な掃除機を諦めたのかと言うと、そうではありません。単にHEPAやULPAの性能表示の基準が厳しくなったからです。つまり、今まではHEPAの基準を満たしていない様なフィルタを「HEPA」と名乗っていた、早い話が嘘を付いていた訳ですね(笑)

  3. 空気清浄機の回でお話しましたが、HEPAやULPAのような高性能フィルタは本来は空調用の物で、掃除機のように強い気流を濾過する事を想定して作られてはいません。そのため非常にデリケートで壊れやすく、耐久性が低いために、水洗いはおろかハケで掃除する事も出来ません。

  4. 現在は気流に関しては高流量に対応したHEPAフィルタも出てますが、こうした高流量HEPAフィルタは非常に高価になります。

  5. フィルタ掃除が必須のサイクロン掃除機では「ハケで掃除しろ」とか「裏から掃除機で吸え」とか「汚れが酷い時は水洗いしろ」なんて言ってますが、こんな事したら間違いなくそのフィルタはHEPAで無くなってしまいます。ボロボロでスカスカの低性能フィルタを、オーナーだけがHEPAだと信じて喜んでいる間抜けな図式です。

  6. 「水洗い出来るHEPAフィルタ」なる物は確かに売られているのですが、全て中国製です。中国人はHEPAフィルタは水洗い出来ると言ってますが、日本の技術者は無理だと言ってますし、アメリカ人からも疑問の声が上がっています。どちらを信じるかは皆さん次第です。

  7. 結局、「HEPAやULPAフィルタを使っているから排気が綺麗」なんて話は全く信憑性がありません。仮に購入時はHEPAの規格を満たしていたとしても、使っている内にどんどん能力が落ちて行き、数年で粉塵散布機に成り下がってしまいます。

  8. 口コミを読んでいると、実際にフィルタを水洗いした人達の呪詛の書き込みが数多く見つかります。「水洗いしたら変形して隙間が出来た」だの「毛羽立ってダメになった」だの「猛烈な悪臭を放つようになった」だの散々ですね。

  9. 特に、サイクロン掃除機の排気が臭くなった時はフィルタが悪臭元になる場合が多く、この場合は水洗いしても取り切れません。素直に交換した方が簡単な上に効果的です。

  10. ですからサイクロン掃除機をお使いの方は、フィルタは消耗品と考えてコスト計算に含めておく事をお勧めします。性能の維持と悪臭対策として必須だと思います。

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流路設計の重要さ

  1. また、フィルタ以前に構造上の問題もあります。仮にHEPAやULPAフィルタを使っていても、掃除機内部で排気が洩れていたのでは全く意味がありません。下の図をご覧下さい。

  2. 日立CV-PW300排気図 日立CV-PW300カットモデル
  3. 上は排気が綺麗で有名な日立CV-PW300の排気の流れの概念図です。左は家電Watchさんからお借りした同機のカットモデルの写真です。

  4. ご覧の通り、高性能紙パックで濾過された排気は、モーター前フィルタでさらに濾過された後で、モーターハウジングに入りモーターを冷却します。

  5. モーターからはカーボン等の粉塵が出ますが、モーターハウジングから出た排気は再度高性能フィルタで濾過され、他の部位を冷却した後で最終フィルタを通過して外部に放出されます。

  6. カットモデルをクリックして拡大するとお分かりになると思いますが、モーターハウジングは密閉されているので、ここから出た排気は濾過済みの綺麗な排気になります。この綺麗な排気でコードリール等の他の部位を冷却した後で外部へ放出します。

  7. 一口に排気が綺麗な掃除機と言っても、このレベルになって初めて達成されるのです。簡単に見えるかもしれませんが、非常に難度の高い設計です。

  8. ですから本当に排気が綺麗な掃除機かどうかを見分けるには、こうしたカットモデルを見ない事には分かりません。メーカー側も余程機械に自信が無ければカットモデルなど見せませんから、こうしたモデルを公開しているのはひとつの目安にはなります。

  9. もう1つ。排気が綺麗な方が良いけどそこまで厳密じゃなくても良い、とおっしゃるなら簡単な見分け方があります。それは「排気が上方に向いている事」です。

  10. 一般に上面排気なんて呼ばれてますが、排気が掃除機の斜め後へ吹き出すタイプです。この方式は床の埃を巻き上げないので合理的な方法なんですが、場合によっては排気が直接顔に当るので排気が汚い掃除機はそれをバレるのを嫌がって採用しません(笑)

  11. 上面排気の掃除機は全て排気が綺麗な訳ではありませんが、ある程度排気に自信がないと出来ないやり方だけにこれもひとつの目安にはなります。

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集塵容量

    容量オーバー
  1. 掃除機の集塵容量は見落とされがちなんですが、モデルによっては結構バラつきがあるので注意が必要です。

  2. 一般にキャニスター型掃除機の場合、紙パック式ならおよそ1.5L前後、サイクロン式ならおよそ0.5L前後が平均なんですが、中には倍程度あるものや半分程度しかない物もあります。容量の大きさはある程度までは外形の大きさで判断出来ますが、容量が半分しかないからと言ってサイズが半分になる訳ではありません。

  3. まあ、大きい分には特に不都合はありませんが、見かけより容量が小さい場合は後で困る事がありますから、集塵容量もしっかり確認しておく必要があります。

  4. 特に小型軽量の単身者向けに開発された掃除機を一般家庭でお使いになる場合は、紙パックの交換回数が増えたり、掃除の途中でダストカップのゴミを捨てなければならなかったりと不都合が出て来ます。掃除機をお選びの際は家族構成やゴミの量の事も頭に入れておいて下さいね。

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掃除機その8。家庭で出来るトラブル対策(ヘッドが動かない、ホースが破れる、排気が臭い等)へ進む
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コメント

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大変遅くなりました

返事が必要な案件を先に処理しましたので返信が大幅に遅くなってしまいました。大変失礼な事をしてすみませんでした。


と言う事で、ご指摘の点を確認しました。ダイソンの言う「ダストピックアップ率」と言うのはIECの"dust removal ability"の事と言う事ですね。これじゃあ幾ら検索してもヒットしない筈ですね。私の苦労は何だったのでしょうか(笑)

それと、JIS C9108:2009の測定方法の件、ありがとうございました。私らは外側から上っ面をなぞって見ているだけですので現場の方のお話はとても勉強になります。


両方とも参考にさせて頂いた上で本文の方も修正しておきました。

ご指摘どうもありがとうございました。

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面白い過ぎ&非常に参考文献
掃除機が故障したため、この際、掃除機の仕組み、サイクロンへの疑問等々、下調べして家電やへ。がきっかけで読ませてもらいました。読みきる自信がなかったんですが(笑)引き込まれました!紙パック式、サイクロン式、スタンドタイプ、充電式、様々なタイプを使ってきましたが、売り言葉に騙されでいた事を実感していた矢先です。調べにネットは利用しますが、口コミや宣伝は半分程度に捉えていましたが、甘かったようです。
今までの疑問や使い勝手の悪さ、吸引力?ホント?が全て理解出来ました!
こういうコメントも初めて投稿します。
ノートに書き出し、型番その他を比較、店頭で実物も確認。
数日、掃除機選びに頭を悩ませましたが、
予算もあり、パナソニック親子ノズル(筆者様ご使用がポイントです)を今日注文しました。ちなみに故障はサイクロン式です。
ダイソン・・高い!重い!小回りきかない!使いづらい!重量のあるものも期待度高く購入した過去がありますが、掃除がストレスになりました。
それに、最近行き過ぎ⁉そこまで言い切る⁉コマーシャルは逆に信じがたく、不快感さえ感じていました。
めっちゃ、スッキリ‼です。

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どんなに高機能でも壊れればただの粗大ゴミ。
家電と亭主は丈夫で長持ちするのが一番ですよ(笑)

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