始めに
シャープのオーブンレンジと言うとヘルシオシリーズが有名なんですが、元々シャープは電子レンジに関してはプライスリーダーとなるメーカーで、高級モデルに搭載していた装備を普及モデルににまで装備する事で電子レンジの低価格化に貢献して来ました。
私が一人暮らしを始める際に買ったのもシャープのトースターレンジでした。20Lクラスで初めて蒸気センサーを搭載してタイマーを使わずにボタン一つで温め可能なのが売りでしたね。
蒸気センサーなのでラップをすると役に立たなかったですけど(笑)
当時5万円ほどしたのですが、驚く事に20年以上経った今でもこのレンジは現役です。表示系がダメになって買い替えましたが、マグネトロンもセンサーも回転テーブルも元気に働いていて、今でも知り合いの町工場で工員さんのお昼ご飯を温め続けています。
昔はシャープも良い物を作っていましたね。今では見る影もないですけど(笑)
そのせいか今でもスチーム以外のオーブンレンジではシャープ製品の人気は高く、現在に於いてもパナソニックとし烈なシェア争いをしています。
今回はそのシャープのオーブンレンジを見て行きましょう。
2013~4年製シャープの電子レンジ・オーブンレンジ
2013年モデルの特徴
始めに
2004年、大学法人化に伴いそれまでの親方日の丸のぬるま湯暮らしが出来なくなって、尻に火が付いた大阪府立大学が「産学官連携プロジェクト」としてシャープと共同開発したのが過熱水蒸気を用いた家庭用スチームオーブンヘルシオシリーズでした。
この過熱水蒸気を使ったスチームオーブンは業務用としてはポピュラーな存在でしたが、これを小型化して家庭用100Vで作動する様に改良したのが新しい点ですね。ですから、シャープはスチームオーブン自体を開発した訳ではありません。
こうして誕生したヘルシオシリーズも今年で10年目になります。当初はエポックメーキングだったスチームオーブンも今では当たり前の存在になり、かつての様なアドバンテージも無くなって来ました。が、あくまでもシャープはヘルシオシリーズを前面に押し立てて過熱水蒸気のメリットばかりを強調しています。
そして、過熱水蒸気にこだわるあまりにオーブンレンジとしては貧弱すぎる電子レンジ機能の改善をなおざりにしています。スチームオーブンとしては優秀でも、オーブンレンジとしてはレンジ機能がお粗末なヘルシオシリーズはかつての様な人気を失いつつありますね。
この辺りはちょうどサイクロン掃除機の欠点とダイソンの関係によく似ています。自社技術にこだわるあまりに、使い勝手の向上を求める消費者側の声に耳を傾けようとしません。技術に対する過剰な傲りは消費者側の反発を買うだけなんですが、硬直した脳ミソしか持たない経営陣には理解出来ないのでしょう。
奥様方が求めているのは簡単便利な調理機器であって一部の能力だけ高性能な物ではないのですが、シャープの経営陣にはヘルシオが唯一無二の物にでも見えるのでしょうね。

ヘルシオエンジン
ヘルシオエンジンと言うのは過熱水蒸気の生成装置の事ですね。ここはヘルシオの心臓部だけに毎年地道に改良を繰り返しています。そう言う意味では最新型が最も優れている部分と言って良いでしょう。
特にシャープの場合はこの過熱水蒸気の生成装置に関しては多くの特許を取っていますので、他メーカーのスチームオーブンよりも多くのアドバンテージを持っています。ですから、スチームオーブンの能力に関して言えばシャープが頭一つリードしていると思って下さい。他メーカーは特許の壁に遮られて真似したくても出来ない事が数多くあると言う事ですね。
但し、デメリットもあります。ヘルシオの場合はスチームオーブンとして最適化されていますから通常のオーブンレンジとしては貧弱な部分も少なくありません。先にお話しした電子レンジ機能もそうですし、グリルや電気オーブンとしても高性能とは言えません。これらはあくまでもスチームオーブンにオマケとして付いている機能ぐらいに考えた方が良いです。
ですから、艱難辛苦を乗り越えてでもスチームオーブン機能を優先するとおっしゃるのならヘルシオがオンリーワンになりますが、スチーム機能が付いたオーブンレンジとして考えるのなら優先順位は大きく落ちてしまいます。
ここにメーカー側の思惑と消費者側の要求とのズレがあります。確かに過熱水蒸気は食材を乾燥させずに加熱出来るメリットがありますし、調理のプロセスで脱塩化も図れます。ですが、仮にヘルシーな料理を作れてもそれが美味しいとは限りません。過熱水蒸気による調理は味を向上させる訳ではないからです。
例えば「ヘルシーな料理」の代表は病院の病人食がそうですね。あれはそれはもうヘルシーですが病人食が美味いと言う話はあまり聞いた事がありません(笑)
業務用の過熱水蒸気オーブンの代表的な物が給食センターのスチームオーブンなんですが、給食は栄養のバランスが良いですし、ある意味ヘルシーですが驚くほど美味い給食と言うのもあまり聞きません。シャープのカタログを見ても「ヘルシー」とは書いてありますが「美味い」とは書いていませんね(笑)
まあ、スチームオーブンだと必ず不味くなる訳ではありませんが、通常の電気オーブンとは違った焼き上がりになります。そして少なくとも通常のオーブンより美味しくなる事はありません。お使いになった事がある皆さんならお分かりでしょうが、非常に微妙な焼き上がりになります(笑)
スチームオーブン機能はメーカーを問わずに余熱から庫内の後片付けまで時間がかかりますし、その割には味的には微妙な物が多いです。健康のためなら全てを犠牲にしても構わないと言うのならともかく、そうでないなら大金をかけるほどの値打ちがあるかどうかは微妙ですね。
そして、スチームオーブン機能を重視しないのであればヘルシオが第一候補に上がる事はないでしょう(笑)

スイングダンパー
こちらは名前は仰々しいですがパナソニックのスピードスチームと同じで、単にスチームを上部に集中する事で効率を上げているだけですね。逆に言うと高性能スチームオーブンのヘルシオでさえ、そのままでは火力不足になると言う事です。
これが30Lクラスのオーブンレンジの最大の弱点になります。家族が多いので大きなサイズのオーブンレンジを買ったとしても、多くの食材を同時に調理する際はそれだけ時間がかかってしまって使い勝手はそれほど向上しません。高いのを無理して買ったのにこんな筈ではなかった、なーんて後悔する事になります。
オーブン料理が得意な奥様方は最初からビルトインタイプのオーブンが付いたシステムキッチンをお選びになるのが一番なんですよ。まあ、旦那様方の残業時間が増えそうですけど(笑)
ビルトインオーブンは高価なんですが、残念ながら長い目で見れはそちらの方がずっと近道になります。

ココロエンジン
こちらはシャープお得意の音声によるインターフェイスですね。シャープは液晶のトップメーカーでもありますから表示系を筆頭に外回りの出来だけは優秀です(笑)
逆に言うとヘルシオのアドバンテージはこれだけです。つまり優秀なスチームオーブン機能と美しい表示系だけと言う事ですね。ヘルシオに限らず、音声ガイドをするココロエンジンはシャープが自慢するほど評判は良くありません。忙しい時に「早く取り出せ」なんて言われると指図されてるみたいで頭に来ますからね(笑)
繰り返しになりますがヘルシオは通常のオーブンレンジではなく、過熱水蒸気を使ったスチームオーブンに形だけの電気オーブンと電子レンジがオマケで付いている特殊な調理家電です。基本的に単機能の優秀なスチームオーブンと考えても良いでしょう。
そう言う意味ではオンリーワンの存在です。他メーカーには競合する物がありません。ヘルシオをお選びになる方は指名買いするでしょうし、通常のオーブンレンジが欲しい皆さんはヘルシオをお選びにならないでしょう。
仮に特売になっていたとしても、スチーム命の方じゃないと買った後で後悔しますから注意して下さいね。

その他の特徴
シャープの場合は良くも悪くもヘルシオが前面に出て来ますので、それ以外のオーブンレンジに関してはシャープ内部でも扱いが悪いです。そのためか、これと言ってアピールする点はありません。
ですが、元々シャープは電子レンジのトップメーカーだった事もあり、通常型のオーブンレンジも基本能力は高くてユニークな物が多いです。実際にシャープで一番売れているのはヘルシオではなく、パン焼き機能に定評のあるRE-SF10Aだったりします。こちらのスチーム機能は角皿式ですので過熱水蒸気は使えません。
結局、手間のかかる割に出来上がりがアレな過熱水蒸気より、簡単で美味しくパンの焼けるオーブンレンジの方が評価が高いと言う事ですね(笑)
まあ、オーブンレンジ自体がここ20年は大きな技術革新がないですからね。10年前に過熱水蒸気を使ったヘルシオが加わって高級機はスチームオーブンを標準搭載する様になりましたが、それ以外の部分ではほとんど進化していません。
逆に、過熱水蒸気ユニットを無理やり詰め込んだ事で通常のオーブン機能が落ちている部分も少なくありません。これはオーブンレンジに限らず、たとえ高価であったとしても多機能モデルと言うのは最高性能の機能を併せ持つ訳ではありません。設計に無理のある家電はどうしても器用貧乏になってしまいます。
ですから、こうした多機能なオーブンレンジをお選びになる際はどうしても欲しい機能、あるいは特に重視したい機能に絞ってお考えになる方が良いでしょう。シャープの場合はスチーム機能を重視するならヘルシオ一択になりますが、そうでないならヘルシオ以外の物をお選びになる方が良いです。
予算に余裕があるからと言って何となく高級機を買ってしまうと、実際に使った時にイメージが違いすぎて後悔する事になります。「高い方が高性能」と言うのは単機能モデルに言える話であって、多機能モデルの場合は必ずしもそうとは限らないのですよ。
2013年モデルのスペック一覧
それでは2013年モデルのスペックを見て行きましょう。シャープはヘルシオシリーズをスチームオーブンではなく「ウォーターオーブン」なんて呼んでます。業務用の過熱水蒸気オーブンは普通に「スチームオーブン」と呼ばれていますから何の意味もないのですが、シャープらしいハッタリなんでしょうね(笑)
で、そのハッタリを強化するためかヘルシオシリーズは通常のオーブンレンジから独立させて別カテゴリにしています。全く持って無意味な上に、消費者側からすると商品比較をするのに複数のサイトを開いてチェックしなければならず非常に面倒な作業を強いられます。
こんな馬鹿な事をしているから会社が傾くのですね(笑)
愚痴を言っても始まらないので、まず「ウォーターオーブン」のヘルシオシリーズから見て行きましょう。
通常、他メーカーは庫内容量によってグレードを分けるのですが、シャープの場合はちょっと変わった分け方をしています。フラッグシップモデルのAX-SP1は別格なんですが、その下には同じ30LモデルのAX-GA1ではなくAX-SP1と同じデザインでココロエンジンを搭載した26LモデルのAX-SA1が位置しています。
インターフェイス系を除けばスペック的にはAX-GA1の方が能力が高いのですが、シャープ的には見た目を優先させているみたいですね。ですから、AX-SA1はAX-SP1を欲しいが置くスペースがないご家庭向きの商品と言う事ですね。スペースに問題がないならAX-SA1を選ぶ理由はありません。
ヘルシオをお求めになる皆さんは過熱水蒸気を使ったスチーム機能を重視していらっしゃると思います。そう考えると過熱水蒸気ユニットのヘルシオエンジンの性能をが最も重要な要素になります。そしてこのヘルシオエンジンの性能は当然の事ながらAX-SP1が最高であると共にほぼオンリーワンの能力を持っています。
つまり、ヘルシオを買うならフラッグシップモデルのAX-SP1以外の選択肢はありません、とまでは言わないまでもAX-SP1以外を選ぶ理由がありません。ヘルシオはスチームオーブンに特化したオーブンレンジで、スチーム機能以外の能力は他メーカーの物より劣ります。その重要な過熱水蒸気ユニットの能力が低いのであればヘルシオシリーズを選ぶ理由が無くなるからですね。
ウチでは普段は無駄に高い商品は批判して皆さんが買わないように仕向けています(笑) が、こうした何かに特化した家電製品に関しては迷わず最上位モデルをお選びになって下さい。トンがった家電製品に中庸も中間もありません。トンがった家電製品のお買い得モデルは能力的に中途半端で、わずかなお金を得る代わりに多くの物を失ってしまうからですね。
予算や環境に問題があるなら、そちらの問題を解決するかヘルシオはキッパリと諦める方が無難ですね。
ヘルシオを買うならAX-SP1オンリーぐらいに考えて下さい。他のモデルが駄目だとは言いませんが、目玉であるスチームオーブンの能力が落ちるのであれば他メーカーのオーブンレンジをお買いになる方が満足度は高いと思います。
お次は通常のスチームオーブンレンジです。後継新型の2014年モデルは過熱水蒸気メニューが搭載されましたが、この2013年モデルには搭載されていません。とは言え、角皿式なのに「過熱水蒸気メニュー」なんて事を言ってますから、本物の過熱水蒸気かどうか非常に怪しいです。
この原稿を書いている時点では詳細は不明ですが、過熱水蒸気メニューに「美味しさアップのために少量の油を使用」なーんて注意書きをしているくらいですからほどが知れますね。油を使わないと食えたもんじゃないって事ですから(笑)
そんな具合ですから、怖いもの見たさとか言うのならともかく、実用的なオーブンレンジをお望みなら2013年モデルを選ぶ方が良いかもしれません。何と言ってもお安いですしね。
RE-SF10Aはパン焼きやお菓子作りに定評のあるオーブンレンジで、2段式でサイズの割にお手頃価格と言う事もあってシャープの中で一番の人気商品になっています。過熱水蒸気機能こそ付いてはいませんが、パンやお菓子作りがしたくてリーズナブルなオーブンレンジが欲しいとおっしゃる方には第一候補になります。
値段が値段ですからリッチな装備はありませんし液晶もバックライト無しと見づらいのですが、3万円程度で入手出来る2段式オーブンレンジとしてもお菓子作り用オーブンレンジとしても評価が高いですね。特にお菓子用としては比較検討される物の半額程度の値段ですから非常にコストパフォーマンスが高い商品になっています。
元々シャープと言うメーカーは、パナソニックと並んで家庭用電子レンジの先鞭を着けるメーカーでした。私が初めて買ったのもシャープのトースターレンジでして、20Lクラスでは初の蒸気センサー付でボタン一つで温め可能と言うのが売りでしたね。
これは10年以上使いましたが表示系が駄目になって買い替えたのですが、驚く事に最近まで現役で、知人の町工場で工員さんのお弁当を温め続けていました。引退したのも壊れたからではなく、懸賞か何かで電子レンジが当たったためにお役御免となったそうです。マグネトロンも蒸気センサーも回転テーブルも20年以上経っても完動でした。
そんな訳で、こと電子レンジに関してはシャープは老舗のトップメーカーと言う事になります。少なくとも怪しげな空気清浄機や掃除機よりも信用は出来ると思います(笑)
まあ、最近のシャープは開発主体がスチームオーブンに移っていますのでかつてほどでは無いにせよ、オーブンレンジ関係に蓄積されたノウハウは生きていると言う事ですね。それがこのRE-SF10Aの高評価に結び付いていると思います。
RE-ST9AとRE-SF8Aは兄弟機ですね。一応、豪華版と廉価版になるのですが実売価格が接近しているために圧倒的にRE-ST9Aの方が人気が高いです。
スペック的にはセンサーとスチーム機能の差なんですが、センサー関係は予算が許すなら精度の高い物をお選びになる方が満足度はグッと高くなります。特に赤外線センサーと蒸気センサーとでは実用的には大きな差がありますので、赤外線センサー搭載のRE-ST9Aをお選びになる方が良いでしょう。
と思っていたのですが下のコメントのご指摘通り、10Aと9Aの赤外線センサーは解凍等に限定的に使われるだけで通常の温めは蒸気センサーのみで対応しています。ですから、残念ながら冷凍マグロの解凍時くらいにしか満足度は上がりません(笑)
この調子だとその内に記事の半分は訂正文になるかもしれませんね(笑)
何でこんな馬鹿な事をするのか謎なんですが、家庭用レンジで蒸気センサーを普及させたのはシャープですから変な思い入れがあるのかもしれません。ただ、それに付き合わされる方は堪りませんが(笑)
それと、パナソニックはオーブンレンジの両サイドを壁に付けても大丈夫なモデルがありましたが、シャープの場合は背面を壁に付ける事は出来ますが両サイドと上面には一定の空間が必要になります。こうした設置に関する細かい仕様はメーカー毎や機種毎によって異なって来ますから注意が必要です。
特に上面は廃熱が集中しますのできちんと空間を開けて下さい。ラック等に収納するために空間の確保が難しい場合は、ラックの天面や側面にアルミの様な金属板を張り付けて断熱して下さい。
レンジでチンしたら家が丸焼けになった、なーんて事になったら笑い話で済みませんからね(笑)
ラストは昔懐かしいトースターレンジになります。回転皿がくるくる回りながら温めるタイプのレンジですね。機能的には上位モデルに劣りますが、トーストを焼けるのが大きな特徴になります。サイズ的にも機能的にも単身者向け、もしくは2人暮らし向けのオーブンレンジと思って下さい。
4畳半フォークが似合いそうなレンジです(笑)
RE-S7AとRE-S206は兄弟機になります。違いはレンジやグリルの出力わずかな差ですが、小家族向けの商品と言う事を考えると実用上はあまり差はありません。ただ、実売価格も差が無い事から多くの人がRE-S7Aをお選びになっています。単純に値段の安い方をお選びになっても良いでしょう。
機能的にはとてもベーシックな物です。基本的にトーストと温め、たまにオーブンを使う程度ですね。一応、角皿式のスチームオーブンも付いてはいますが、スーパーの茶碗蒸しを買って来て温めた方が楽だと言う事に気付いたら、じきに使わなくなるでしょう(笑)
RE-S5Aは完全に単身者をターゲットにしたモデルです。朝はトーストを焼いて、夜はコンビニ弁当を温めるだけと言う使い方を想定していますね。操作ボタンも大きく、全てワンタッチで行うのを意識した造りになっています。上京したての男子大学生なんかが似合いそうなレンジです。
ただ、温めが回転皿式ですから大盛りサイズの弁当は角が当たって上手く温められません。私も経験ありますが、酷い加熱ムラが出るので頭に来ます。20Lモデルとの実売価格は5千円程度ですから、置き場所と予算に問題が無いなら回転皿式の電子レンジはなるべく大きな物をお選びになった方が後悔する事は少ないですね。
こうしたトースターレンジは安価で機能も制限されますが、実は大半のご家庭ではこの程度の能力で十分なんです。パンやクッキーを作る事は出来ませんが、冷凍ピザやグラタン程度なら普通に作れますしトーストが焼けますので変な高級機より実用性は高いです。しかもお安いです。
よく新婚さんが親のお金で大型レンジをお買いになっていますが、意気込みがどれだけ立派でも料理は経験が物を言いますから家事をサボっていた若奥様に使いこなせる訳がありません。結局、温め程度しか使わないまま、お手入れをサボって故障させてしまうのが関の山です。ご覧の皆さんの中にも耳が痛い方がいらっしゃるでしょう?(笑)
ですから、一人暮らしの方はもちろん、新婚さんなんかもこのクラスから始められる事をお勧めしますね。先ずはこうしたベーシックなオーブンレンジをお使いになって、さらにもっと高機能な物が欲しくなったら、改めてその時になってから買い替えると良いでしょう。
それと、パン焼き等に関してはオーブンレンジより専用のホームベーカリーの方が美味しく作れます。これは器用貧乏の多機能機と専用機の違いですね。多機能機は便利には違いませんが、質の話をすると専用機には勝てません。それほど質は求めないがちょっと作ってみたいと言うのなら多機能機、より美味しく仕上げたいのなら専用機と言う具合に分けて選んで下さいね。
で、下のコメントでご指摘を受けた様に、すっかり忘れ去られていたのが単機能レンジのRE-TS1です。すんません(笑)
何で忘れられていたのかと言うと、それくらい印象に残らないレンジだからですね。機能的にはパナソニックNE-EH226と大差ないのですが、あちらの方が出力が若干上なのと、こちらの方は今時珍しい50-60Hz別モデルだと言う事ですね。
まあ、単機能レンジを小脇に抱えて転勤したりはしないですが、50Hz機は東日本限定で60Hz機は西日本限定仕様になります。周波数を無視して使うと異常動作をした挙句に場合によっては発火等の危険がありますから、一度買ったが最後、糸魚川~富士川辺りの周波数の変更帯を越えて使う事が出来ません。
その代り、若干お値段がお安くなります。
それが数千円の価格差なら考えてしまいますが、NE-EH226との実売価格差は千円程度ですから敢えてこちらを選ぶ理由があまりないのもまた事実です。蒸気センサーはラップを使うと殆ど役に立たなくなりますから、お値段重視と言うのならセンサーの付いていない2012年モデルの RE-T2の方がお安くなります。
最初に少しお話ししましたが、単機能レンジで理想的なスペックは1000W程度の出力で赤外線センサー付のフラットテーブルで25Lくらいの容量があるものなんですが、残念ながらそうしたモデルは存在しません。
皮肉な事にレンジ機能が優秀な物は単機能レンジには無く、中級クラス以上のオーブンレンジにしか無いと言う事ですね。既にコンベクションオーブン等をお持ちの方で優秀な電子レンジ機能だけ欲しい方がいらっしゃると思いますが、残念ながらそう言う事情ですのでベーシックな電子レンジをお選びになるか、機能重複を承知でオーブンレンジをお選びになるかしかありません。
どうしてもと高性能レンジが欲しいおっしゃるなら、シャープやパナソニックの株主になって株主総会の時に動議をかけて下さい(笑)
型番 | AX-SP1 | AX-SA1 | AX-GA1 | AX-CA1 |
庫内容量(L) | 30 | 26 | 30 | 18 |
レンジ出力(W) (瞬間) | 600(1000) | 600(1000) | 600(1000) | 600(1000) |
オーブン加熱方式 | 2段 | 1段 | 2段 | 1段 |
オーブン最高温度(℃) | 250 | 250 | 250 | 250 |
過熱水蒸気 | ○ | ○ | ○ | ○ |
スチーム方式 | タンク式 | タンク式 | タンク式 | タンク式 |
センサー | 蒸気 | 蒸気 | 蒸気 | 蒸気 |
トースト | ○ | ○ | ○ | ○ |
オートクリーニング | 庫内、クエン酸 | 庫内、クエン酸 | 庫内、クエン酸 | 庫内 |
その他 | 過熱水蒸気トリプル噴射、除菌機能、自動メニュー381 | 過熱水蒸気シングル噴射、除菌機能、自動メニュー124 | 過熱水蒸気ダブル噴射、除菌機能、自動メニュー195 | 過熱水蒸気シングル噴射、自動メニュー88 |
サイズ(mm) | 525 ×435×420 | 520×450×400 | 525×460×435 | 490×400×345 |
消費電力(W) | 1460 | 1460 | 1460 | 1460 |
型番 | RE-SF10A | RE-ST9A | RE-SF8A |
庫内容量(L) | 31 | 23 | 23 |
レンジ出力(W) (瞬間) | 600(1000) | 600(1000) | 600(1000) |
オーブン加熱方式 | 2段、片面グリル | 1段、片面グリル | 1段、片面グリル |
オーブン最高温度(℃)(瞬間) | 250 | 220(250) | 220(250) |
過熱水蒸気 | × | × | × |
スチーム方式 | 角皿式 | タンク式 | 角皿式 |
センサー | 蒸気/赤外線 | 蒸気/赤外線 | 蒸気 |
トースト | × | △(裏返しが必要) | △(裏返しが必要) |
オートクリーニング | × | × | × |
その他 | お菓子、パンメニュー | × | × |
サイズ(mm) | 490×445×370 | 500×380×345 | 500×380×345 |
消費電力(W) | 1460 | 1460 | 1460 |
型番 | RE-S7A | RE-S206 | RE-S5A | RE-TS1 |
庫内容量(L) | 20 | 20 | 15 | 20 |
レンジ出力(W) (瞬間) | 600(950) | 600(900) | 500 | 500(700) |
オーブン加熱方式 | 1段、両面グリル | 1段、両面グリル | 1段、両面グリル | × |
オーブン最高温度(℃)(瞬間) | 250 | 220(250) | 220(250) | × |
過熱水蒸気 | × | × | × | × |
スチーム方式 | 角皿式 | 角皿式 | 角皿式 | × |
センサー | 重量 | 重量 | 重量 | 蒸気 |
トースト | ○ | ○ | ○ | × |
オートクリーニング | × | × | × | × |
その他 | × | × | × | × |
サイズ(mm) | 470×395×300 | 470×395×300 | 450×365×290 | 460×350×275 |
消費電力(W) | 1375 | 1350 | 1300 | 1310 |
2014年モデルの特徴
さて、本来ならこの原稿は5月上旬に書き上げる筈だったのですが身内の入院騒動で1か月半ほど遅れてしまいました。そんな訳で、既に2014年モデルの一部が発表、発売されています。全てが出揃うのは秋口でしょうからその時に改めて記事にしますが、取りあえず今詳細が分かっている物をざっと見て行きましょう。
一番大きな変化は2つ上の表でまとめた、型番10、9、8の後継モデルです。それぞれRE-SS10B、RE-SS9B、RE-SS8Bとなりますが、この後継モデル全てに過熱水蒸気メニューが追加されました。
「やったー、これで高いヘルシオを買わずに過熱水蒸気が使えるぞ!」なーんて思った貴方、シャープの言う事をいちいち真に受けてたら財布とゴミ箱がいくつあっても足りません(笑) その辺りをちょっと見て行きましょう。
シャープは家庭用過熱水蒸気オーブンの草分けで高い技術と特許を取得しています。そのため他社を差別化するためにヘルシオシリーズをわざわざ「ウォーターオーブン」なんて厭味ったらしく呼んでいます(笑) ですが、なぜかこの3台はウォーターオーブンとは呼ばずに「過熱水蒸気オーブン」と呼んでいます。
変ですね(笑)
しかもこの「過熱水蒸気オーブン」には※印が付いていて、横に小さく「スチーム+オーブン機能」なーんて書いてあります。どうも怪しいですね(笑)
過熱水蒸気オーブンと言うのは、タンクの水を沸かして発生した水蒸気を専用ユニットでさらに過熱して250℃を超える高温にして食材に吹き付けて加熱するオーブンです。ですがこの3台は専用の加熱用ユニットを搭載していません。何せRE-SS10BとRE-SS8Bは角皿式ですからね(笑)
なぜ加熱ユニットを搭載していないのに過熱水蒸気なのかと言うと、どうやらシャープはスチーム発生時にオーブンで加熱するからスチームも加熱されて「過熱水蒸気」になると言いたいみたいですね。
だとすれば、「ヘルシオエンジン」とは何だったのでしょうか?(笑)
最初低温でも後になって加熱すれば良い、のであればバカ高いヘルシオシリーズを買う意味はありません。ですがこのやり方は、低温の油に衣の付いたエビを入れてその後で加熱して天ぷらを揚げるのと同じで、こんな加熱の仕方では美味しく出来上がる訳がありません。
実際、シャープのHPを見ると「おいしさアップのため、一部油を少量使用しているメニューもあります」と小さく書かれています(笑)
油を使わず調理出来るからヘルシーで減塩効果があるので「減る塩」なのに、油を使わないと不味くて食えないなら最初から油で調理する方がずっとマシでしょう。
結局、この「過熱水蒸気オーブン」とは旧型のRE-SF10A等の調理メニューである「高温スチーム」の呼び方を変えただけの二枚舌機能だと言う事ですね。つまり、基本的に何も変わっていません(笑)
まあ、これが家庭用過熱水蒸気オーブンの開発メーカーのする事かと思うと情けなくて涙が出て来ますが、シャープにすれば一銭にもならないプライドよりも客を欺いてでも目先の利益が欲しいと言う事でしょう。
もう、ジャパネットの傘下に入った方が良いのではないでしょうか(笑)
そんな訳でこの2014年モデルは2013年モデルにハッタリを追加しただけの新型です。新旧の取説を見比べてみると調理メニューが若干増えてはいるのですが、基本的に同じ物と思って差し支えありません。
ただ、過熱水蒸気機能はハッタリでも10シリーズ等は評価の高いモデルですから、純粋な後継機として見ればこれはこれで悪くはありません。ハッタリは無視すれば済みますが、下手に機能を一新されると一から評価し直さなければなりません。そういう意味ではRE-SS10B等は夏以降は鉄板モデルの一つになる可能性が高いです。
このオーブンレンジと言うのは技術的には砂漠の様に枯れ切った家電ですから、メーカーを問わず新型が出たからと言って劇的に変化する事はありません。マイナーチェンジと呼べる物も2~3年に一度だけで、多くの場合は型番を変えただけと言う事も珍しくありません。
ですから新型の方が優秀とは限りませんし、仮にデザインが一新されても中身は旧型のままと言う事も珍しくありません。オーブンレンジをお求めの際はその事を頭の片隅に入れておいて下さいね。

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